「おままごと」でお金の勉強!? 2歳から始める経済学がスゴすぎる
2019/02/08
値段と原価によるPLの概念
付加価値
うちの子供たちは、ママと一緒によくクッキーを焼いたり、カレーを作ったりする。買い物と料理のお手伝いをさせる際、一緒にスーパーで原材料を買い、料理をしたものをレストランでお客様に提供するという一連の流れを疑似体験(レストランごっこ)させている。原価と値段、つまり数字も意識させて行うのだ。
すると、実際にレストランで提供される際の値段は、スーパーで買った原価に対して、料理をしたことによる付加価値がのせられて提供されているということに気づく。
付加価値について、他にも例をあげてみよう。たとえば、100円均一で買えるようなコップに、人気のキャラクターの絵がプリントされているだけで、500円ぐらいの値段になっていることはよくあるだろう。その現実を目の当たりにすると、子供たちは呆然とする。モノとしての価値は変わっていないのに、値段が格段に高くなっているからだ。この差額が付加価値そのものであり、それに気づかせることでマネー教育へとつなげられる。
利益と資産、人生の宝を知る
BSとPL
BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)は経済学ではなくファイナンスの用語だ。レストランごっこのおままごとだけではPLの概念にとどまってしまうが、BSの考え方も重要だ。目先の損得(利益)だけでなく、資産も意識して動けということだ。友達との信頼関係や、家族との思い出、そういうものは利益ではないが、資産であり、人生の宝にはどちらかというと後者がなりやすい。
短期的な利益を優先して、長期的な利益を逸する人が意外と多い。株式や不動産に投資し、数年後に大儲けをしたという話を聞くことがあると思うが、このケースはまさにPLではなくBSを意識した行動の結果である。自分が働いて稼ぐ(PL)ではなく、資産(株や不動産)に稼いでもらう(BS)という発想である。
我が家ではベランダで花を育てているが、しばしば水やりを忘れて枯らしてしまうことがあった。そこで、自動水やり機を自作した。自作のために、材料代としていくらかのお金を払ったが、それだけを見れば自分で水やりをすればタダなのだから材料代がもったいないということになるだろう。
しかし、水やり機のおかげで花を枯らすこともなく、枯らすたびに買っていた花代も浮き、旅行に出かけてもその間は水やりを勝手にしてもらえるメリットも生まれた。短期的に見ればお金は減ってしまうが、長期的には十分もとがとれる。このように「設備投資した資産」が効用を生んだという実感を持たせている。
PROFILE
森永康平
株式会社マネネ代表取締役社長CEO。3人の娘(5歳、2歳、もうすぐ1歳)のパパ。証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や複数のベンチャー企業のCFOも兼任。日本証券アナリスト協会検定会員。
マネネ公式HP/Twitter : @KoheiMorinaga
Text >> KOHEI MORINAGA
FQ JAPAN VOL.49より転載