第7回 未来のパパ・ママからの提案
2015/03/11
3月5日、厚生労働省イクメンプロジェクト推進委員会主催の『学生たちのソーシャルビジネス アイデアコンテスト』が開催された。高校~大学院に在籍する学生に「男性も女性も働きながら子育てできる社会をつくるための方策」をテーマにアイディアを募集した結果、総計56件のアイディアが集まった。
未来のパパ・ママ候補と考える
日本の子育ての問題点
3月5日(木)、厚生労働省イクメンプロジェクト推進委員会主催のイベント『学生たちのソーシャルビジネス アイデアコンテスト』が、電通本社にて開催された。
高専、短大、大学、大学院に在籍する学生に「男性も女性も働きながら子育てできる社会をつくるための方策」をテーマにアイディアを募集した結果、クラウドを活用したイクメン支援事業、男性専用子育て・家事支援アプリ開発、イクメン支援企業に変えるための企業コンサルティング、定時退社促進、育児をサポートする企業内環境整備、家事サポートサービス、サポートグッズ開発、男性向け子育て講座、育児時短講座運営など、総計56件のアイディアが集まった。
最終選考会に残った学生達は当日、ステージでプレゼンを行う形で競い合った。委員の小室淑恵さん(ワーク・ライフ・バランス代表取締役)と私で審査員を務めたのだが、どのプレゼンも秀逸で甲乙がつけがたいものだった。厳正な審査の末、創価大学経済学部西浦ゼミ育児班が取り組んだ「イクメン通信簿プロジェクト」がグランプリに輝くこととなった。
グランプリに輝いた
「イクメン通信簿プロジェクト」とは?
女性の社会進出(キャリア継続)という身近な社会問題に興味を抱いた彼らは、『女性の育児と仕事の両立困難による離職率の問題』について研究。その結果、原因の1つが男性の育児参加度の低さであると気づき、「男性の家事育児時間の割合が低いと妻の離職率が高まる」という相関関係(図1 厚生労働省2010年)をなくす方法を編み出したのだ。
図1 厚生労働省2010年
彼らが考案したのは「イクメン通信簿」というもの。各企業における男性社員の育児支援制度利用状況を学生が評価したものであり、各企業の育児支援関連情報を3段階に分けている。およそ1000社ある上場企業に対して、丹念に調査を申し入れてリアルな情報をまとめたのだ。
こうした企業の実態を「通信簿」という分かりやすい方法で可視化し、社会に公表すれば、就活生の企業選びの指標となる。これにより、優秀な人材を確保したい企業で男性社員のワーク・ライフ・バランス推進の動きが出てくると予想される。このような影響力の可能性が評価されて、グランプリ獲得が決まった。
今回のコンテストで集まったアイディアは、行政・企業・NPOが今後行っていく父親支援事業の大きなヒントになるだろう。熱く語る若い世代の姿を見て、未来のパパ・ママがこんなにも自分達の将来、仕事と育児が両立できる社会、そしてそれを実現する方法について真剣に考えているのかと、感銘を受けた。我々大人達はそれに応えるべく、しっかりとその礎を築いていかなければならないのではないか。
<FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線>
第1回 「パタニティー・ブルー」をどう乗り越えるか!?
第2回 新しい時代の、新しい父親像とは?
第3回 社会を変える父親を目指そう
第4回 発進! イクボス企業同盟
<イクボス集中講座>
第1回 イクボスって何?
第2回 イクボス実践パパの実例を紹介します!
第3回 管理職も多数参加! イクボスイベントを詳細レポート
第4回 イクボス事情、最新動向 そして「イクボスアワード2014」開催!
第5回 パパ本、いまが隆盛期!
第6回 父親にとって、「残業代ゼロ法」はどういう意味を持つか?
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。一時期は副代表であったが、2014年に再度代表に就任。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
(2015.03.11up)