第9回 児童福祉週間に考える「親と暮らせない子供」
2015/05/14
FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線 第9回 児童福祉週間に考える「親と暮らせない子どもたち」のこと
全国のパパたち! ゴールデンウィークは満喫しましたか?
全国的に天気もよく、どの行楽地でも大好きなパパと一緒の子供たちの笑顔が弾けていましたね。
さて、突然ですが皆さん、「子どもの日」(5/5)から1週間は「児童福祉週間」だということを知ってましたか?
実は僕も会社員を辞めNPOの活動を始める前までは知りませんでした。それ以降、児童福祉の現状と課題についていろいろ勉強しながら、ファザーリング・ジャパンやタイガーマスク基金の活動を続けてきたのですが、そのせいか例えばこの季節、行楽地でエンジョイしている親子を見ると「よかった。ここの家は大丈夫だ」「お父さん その調子だ。育児はたいへんだけど、子どもの笑顔こそがシアワセそのものなんだよ」とつい思ってしまいます。
しかし一方で連休や自分の誕生日ですらどこにも連れて行ってもらえず、ケーキや絵本どころか家で食事もロクに与えられないような情況の子、いつも親(大人)からの暴力にさらされている子供たちが日本にも世界にもたくさんいることも知っているので、心配は尽きません。
そして活動していて常に思うのは、「子供貧困」や「虐待」の問題等は、これに関わっている人たちには理解が深く広がっているものの、関心を持たない人たちには、基本的な情報や考え方自体が、まだほとんど届いていないということです。
「社会的養護」という言葉の意味はご存知ですか?
それは「保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任で社会的に養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと」です。つまり、そうした情況にある子供たちを保護し、児童養護施設や里親家庭で養育していく仕組みのことです。
もちろん子供にとって「家庭」で親と暮らすことが最もよい環境です。しかし、子供は親を選べません。求めても「温かい家庭」がない子が少なからず日本にもいるのです。
「生まれてきたすべての子どもが、親と暮らせなくても、安全で安心できる環境で育っていける環境をつくる」。それには膨大な予算や人手が必要です。社会的養護に関する国家予算は現在約1000億円。でもまだまだ足りません。
「自分の子供だけが幸せな社会などない」。
子供と一緒に穏やかな連休を過ごして幸福な今だからこそ、僕は改めて強くそう思います。皆さんにもちょっと考えて欲しいのです。親と暮らせない子供たちのために「自分に何ができるか」と。
子供を愛するFQ JAPAN読者のパパたちだからこそへのお願いです。
<耳より情報>
このテーマについて自分の得意分野(ラジオとSNSの連動)で自分ができることをしっかりやっていこうと考え、今春から社会的養護をテーマにしたラジオ番組『タイガーラジオ』を始めました!
コンセプトは「もっと知ろうよ!もっと応援しようよ!」。関心ある方はぜひ聴いてください。
毎月第4日曜、午後2時~の放送です。番組へのメッセージもお待ちしてます!
<FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線>
第1回 「パタニティー・ブルー」をどう乗り越えるか!?
第2回 新しい時代の、新しい父親像とは?
第3回 社会を変える父親を目指そう
第4回 発進! イクボス企業同盟
第5回 パパ本、いまが隆盛期!
第6回 父親にとって、「残業代ゼロ法」はどういう意味を持つか?
第7回 未来のパパ・ママからの提案
第8回 子育て支援、ここがポイント! 統一地方選
<イクボス集中講座>
第1回 イクボスって何?
第2回 イクボス実践パパの実例を紹介します!
第3回 管理職も多数参加! イクボスイベントを詳細レポート
第4回 イクボス事情、最新動向 そして「イクボスアワード2014」開催!
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。一時期は副代表であったが、2014年に再度代表に就任。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
(2015.05.12up)