イクボス事情、最新動向
そして「イクボスアワード2014」開催!
2014/07/14
繰り返しになりますが、男女とも育児や介護しながら働けるダイバーシティ企業になるには、会社、そして上司自身の仕事観・働き方が変わらないといけません。女性が育休を取るのは当たり前になりましたが、男性へのプレッシャーはまだ多くの企業であります。育休取得の可否だけでなく、子供が生まれる予定の男性に対して、「お前も父親になるんだから、もっとバリバリ働らかなきゃな」などと言ってしまう50代上司はまだ多い。そういう上司は男性の部下が育児に関わることをよしとせず(かつて自分が妻任せでほとんど育児をやってこなかったことを否定されたくない)、新しい時代の「新しい働き方」を受け入れようとしません。これではいつまで経っても企業は「ダイバーシティな組織」に成れません。
しかし私たち子育て世代が、古い時代の上司を批判や絶望しているだけではダメで、自分たちが「新しい時代の上司」を目指す気概が大事です。もしあなたがいま管理職だったり、近いうちになる予定なのであれば、想定していまからマネジメントのトレーニングをしておくことです。妊娠・出産・育児・介護・不妊治療・自身の病気など部下は多様な問題を抱えています。でもそれをうまく両立させて「働き続けたい」。そうしたニーズに応えるために「自分はどういうマネジメントをすればよいのか?」を、今のうちからしっかり捉え意識と行動を変えて行くこと。いきなりはうまく行かないし完璧な上司なんていないので、小さなエラーを恐れずにやっていく中で、ボスとして成長して欲しいと思います(僕も大企業で管理職やっていたときはそうでした)。
しかし「イクボス」は、優しいだけは成れません。育休取得者や時短勤務のメンバーを上手く活かし、チーム力を向上させ組織の業績を上げられるようなマネジメントが求められます。その「結果」を出すのにこれまでの上司は「休みを取らせず長時間働かせる」ことで適っていたのですが、そこには本人が体を壊したり、その部下の家庭が危ない状況になって「犠牲者も出た」ということを肝に銘じなければなりません。これからはそうではなくて7割はいると想定される「時間制約社員」を管理するのではなく、「どう編集していくか」という視点が大事です。上司が育児などに理解を示してくれると部下のストレスも減り、限られた時間で成果を上げようと努力するはずです。「時間制約がなければこの部下はどんなポテンシャルがあるのか」と考え大事にして活かしてあげることが肝心です。
そういう上司イクボスがいる組織はチームワークもよく、結果的に業績にも貢献している会社がほとんどなのです。
イクボスが増えれば、社会が変わる。
あなたの職場に笑顔の「イクボス」はいますか?
イクボス集中講座 第1回「イクボスって何?」(2014.4.14UP)
イクボス集中講座 第2回「イクボス実践パパの実例を紹介します!」(2014.5.12up)
イクボス集中講座 第3回「管理者も多数参加! イクボスイベントを詳細レポート!」(2014.6.9UP)
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。現在は副代表。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
(2014.07.14up)