インタビュー

[発達障害]栗原類さんの親心にグッとくる子育ての話

8歳のときに、NYで「発達障害」と診断された、モデルの栗原類さん。様々な苦悩を乗り越え、今も夢に向かって歩き続ける栗原類さんが、今、日本の親たちに伝えたいこと。

「ネガティブ」なキャラクターで一躍お茶の間の人気者となった、モデルの栗原類さん。今、彼は子育て中の親たちから注目を浴びている。とあるテレビ番組で、自身が発達障害のひとつADD(注意欠陥障害)であることを公表したのだ。10月6日には、著書『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)が発売され、大きな反響を呼んだ。

人とのコミュニケーションが苦手、物事をすぐに忘れてしまう、約束の時間に場所へたどり着けない……様々な発達障害の特性を持ちながら、どのようにして、自分の才能を生かして輝ける“居場所”を見つけることができたのか。息子を信じ、導き続けた母・泉さんは、どのように彼の道を切り拓いてきたのか。栗原類さんに、お話をうかがった。

「あの子の遅刻はあなたには関係ない」
アメリカでは人の行動に口を挟むのは幼稚な行為

―― 小学校時代、アメリカと日本の学校を行き来していたそうですが、どんな日々でしたか?

「ADDの特性のひとつで、僕はがんばっても時間を守れない子だったので、学校は毎日遅刻でした。ハーフで、背も高いし、それだけでも目立つのに、発達障害がありますから、いじめに遭ったこともありました」。

―― アメリカと日本で、文化の違いは感じましたか?

「日本では遅刻すると、『また遅刻かよ!』と他の子たちが揶揄します。でも、アメリカの小学校では、誰も文句は言わないんです。そんなことを言おうものなら、それを見ていた大人がすかさず、『遅刻はあなたには関係ないことでしょ』とピシャリと注意します。人の行動に口を挟むのは幼稚な行為、というのがアメリカ文化ですから、余計な干渉をしてくる子供はいなくなるんです」。

―― “時間を守れない”類さんと、母・泉さんはどんなふうに向き合いましたか?

「母も、人の行動に口を挟むのは幼稚な行為だという考えでした。でも、時間には厳しい日本の文化もちゃんと心得ていました。アメリカナイズされていた僕を、日本の文化を学ばせるために11歳で日本に戻りました。日本では、僕がいじめのストレスを母に話すと、『だったら、遅刻しなければ言われないよ』と正論で切り返してきました」。
 

「子供の頃から今でも毎晩9時に寝ています」
情緒の安定と発達には正しい生活習慣が基本

―― 正論で切り返してくるところが、お母さまの強さですね。慰めの言葉をかけたり、いじめた子を非難したり、学校に怒鳴りこんだりする親のほうが多そうですが。

「僕以上に母のほうがストレスを感じていたと思いますよ。なにしろ僕は、どんなに急かされてもマイペースですから。そこで遅刻しないために母がとった行動は、『毎晩、9時に寝かせる』ということでした。早寝早起きと正しい生活習慣は、情緒の安定と発達のために非常に重要ですから。9時に子供を寝かせるって、子育てしていればどれだけ大変か、みなさんわかりますよね(笑)。親としてその環境を整えるのは大変だったと思います。でも、周囲はそんな苦労も何も知らず、平気で『親の努力が足りない』とか『子供を甘やかしている』なんて言いますから。母の毎日は、常に外界との闘いだったと思います」。

―― お母さまはどうやって子育てのストレスを解消していたのでしょうか。

「自分の時間をものすごく大切にしていました。母は『自分は信念をもって子育てしている』『わたしは子供にとってのベストの選択をしている』という自負があったようです。今できないことも、この先のんびり続けていけば、きっと10年先にはできているかもしれない、と気長に構えることにしたようです。だから、ガス抜きの旅というか、荒んだ心を癒す旅というか(笑)、僕を自分の親に預けて旅行によく出かけていました。自分を取り戻すうえでなくてはならない時間だったのでしょう。20年後に笑うのはわたしだ、と信じていたみたいです(笑)」。

―― 「20年後に笑う」というのは?

「発達障害の子は、成人するのは定型発達者よりも10年くらい遅いんだろうなと。30歳くらいまでになんとかなっていればよしとしよう、と気楽に構えるようにしたようです。なにしろ僕はできないことだらけでしたから、何度も何度も、それこそ何万回も、できるようになるまで、繰り返し教えてくれました。おかげで、最近、やっと靴ひもを結べるようになりました。できることが年々、確実に増えていってます」。
 

次ページ 栗原類さんが自身の母親への想いを語ります!

 

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