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インタビュー

要潤「いつか子供たちに『オヤジ、しょぼいな』と言われたい」父の背中で伝える子育て

4/28(金)公開の劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』で、過酷な状況下で迅速な人命救助を行う千住部隊長を演じた要潤さんに、普段子育てで心がけていること、そして理想の父親像についてお話を伺った。

パパは人々の命を救う
スーパーヒーロー!

「TOKYO MER~走る緊急救命室~」で、数々の現場で⼈命を救ってきた百戦錬磨のレスキュー部隊長・千住幹生(せんじゅ・みきお)を演じる要潤さんは、10歳の息子さんと8歳の娘さんを持つ2児のパパだ。

「子供たちは、毎週日曜日のMERの時間をとても楽しみにしていて、大好きなドラマでした」と話す。子供たちの目には、さぞかしパパは人々の命を救うスーパーヒーローに映ったに違いない。

ドラマを楽しみにしていたのは、要さんの子供たちだけではない。日本全国の子供から医療従事者まで、日本中が毎週日曜日夜を待ちわびていた。その人気ドラマの劇場版がいよいよ公開される。

要さんが隊長を務める部隊は、東京消防庁即応対処部。「即応対処」というだけあり、過酷な状況下で迅速な人命救助を行いながら、二次災害を引き起こさないよう、常に現場で難しい判断と決断を迫られながら人々の救助に当たる。その姿はまさにスーパーヒーローだ。

「ドラマからの映画化ですが、ドラマのファンの方も、初めて知る方も、両方楽しめる作品に仕上がっています。日本映画の枠を超え、横浜ランドマークを舞台にハリウッド映画並みのスケールの見応えある作品です」。


要さん演じる、東京消防庁即応対処部隊の千住部隊長。

エッセンシャルワーカーへの
リスペクトからドラマ化へ

ドラマが生まれたきっかけは、新型コロナウイルスの猛威が奮うなか、職務と責務を全うした医療従事者やエッセンシャルワーカーの方々へのリスペクトにある。

TBSの企画プロデューサーが、コロナ禍にあるドキュメンタリーで見た1人のエッセンシャルワーカーの姿に強く胸を打たれ、医師や看護師を含むすべての医療関係者へのエールを込めたドラマをつくることで、感謝の意を表したいという思いがあった。

冷静沈着で医術も卓越したリーダーとスペシャリストたちによるチームに、戦隊ヒーロー的な要素を加えた今までにない新機軸の医療ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」が誕生した。

「レスキュー隊の即応対処の隊長として、千住幹生は非常に熱い男です。仲間を大切にし、どんな過酷な状況でも人命救助を優先します。演技する時は、常に普段より2ボルテージくらい声を上げました」。

医療や看護従事者のほか、消防やレスキュー隊、警察などの指導・監修のもとにつくられた『TOKYO MER』は、プロからも高く評価された。要さんは、千住隊長を演じるうえで、災害時の隊員の気持ちとその姿勢、所作について、消防やレスキュー隊の方々に詳細に質問したという。

「(脚本のようなレベルの)救助はこれまでありましたか? 災害の救助時はどのように行動されましたか? というように、1つ1つ細かくインタビューしました。即応対処のレベルになると海外救助にも派遣されます。直近の災害では、トルコの大地震です。災害時の人命救助は、救助する側も命懸けですから、家にはもう帰れないかもしれません。家族に玄関で『行ってらっしゃい』と送り出され、『行ってきます』と言う時、もう二度と会えないかもしれないという心構えで出かける話を伺いました。もし自分自身がそうだったら……と思うと、身につまされます。そのくらいの覚悟と勇気を持って救助に当たっている隊員の方々の思いを感じながら演技しました」 。

すべての中心にあるのは家族
要潤の子供との向き合い方

忙しいなか要さんは家族とはどんなふうに過ごしているのだろうか。

「休みの日は、なるべく家族で一緒にお出かけし、家事もします。下の子は小学校低学年なので、一緒にお風呂に入ったり、学校に行く前の朝の時間は子供たちと過ごします。テストがある日は『頑張れよ』と声をかけたりして、ちゃんとお前たちのことをパパは見ているよ、応援しているよ、いう気持ちが子供たちに伝わるようなコミュニケーションを心がけています。運動会などのイベントは、時間が合えば必ず行くようにしています」。

では、父親になって、変わったこと、変わらないことは?

「すべてが変わりました。仕事もプライベートも、自分の中で、すべてにおいて中心にあるのは家族です。あとは、そうですね……子供が生まれて責任感が強くなりました。家でパパの姿を見ている子供たちへ、そしてすべての子供たちへ、さらにその家族のみなさんへ……というように、画面を通じて応援してくださっている皆さん一人ひとりの顔がリアルに浮かぶようになりました。特に『TOKYO MER』は、すべての子供たちに観てもらいたい作品ですから、熱も入ります」。

では、「変わらない部分は?」と質問すると、しばらく考え込み、ぽつりと「ありません」と答えた。要潤の真っ直ぐさが滲み出た。

人と人とが信じ合い
助け合える社会へ

最近のお子さんとのエピソードについて尋ねると、「下の娘がメールを送れるようなりました」と嬉しそうに答えた。「他愛もない内容ですが、『いまからゆうごはんたべるよ!』とか。仕事先でこんなメールをもらうと、父親のことを気にかけてくれているんだな、と心がゆるみます」。

返信は、すべてひらがな。長いと読むのが大変なので、「よかったね」「きをつけてね」など。そんな一言が、親子の気持ちを繋げる。

父親として、子供と接する時に心がけていることを尋ねた。

「自分で決めさせること。大人になるたび、選択をする場面は増えていきます。MERのように瞬時に決めなければいけないこともあれば、じっくり悩みながら自分の頭で考えて決めることもあります。その両方を子供のうちに経験させたいと思っています。そして、なぜそれを選んだのか、なぜこういう結果になったのか、といったことを自分で考えさせるようにしています。今はスーパーでのお菓子選びですが(笑)。ひとつだけだよと言うと、子供なりに悩んで、『みんなで食べられるからこっち』と自分でちゃんと決めています」。

最後に、作品の見どころと理想の父親像についてお話を伺った。

「『TOKYO MER』は、家族みんなで観られる作品です。人と人の気持ちが通じあっている作品です。コロナ禍で、人間関係が希薄になりがちでしたが、この作品では人と人とが信じ合い、信頼をベースに自分の思いをちゃんと言葉にして、人が人を助けます。子供たちには、このような信頼をベースに助け合うことの大切さを教えなければいけません。そういう社会にしていきたいと願っています。理想の父親像は、そうですね……いつか子供たちに追い抜かれて、『オヤジ、しょぼいな』と言われたい(笑)。しょぼくなるまで自分が働いている姿を見せて、彼らが大きくなった時、その背中から何かを感じ取って、意欲的に仕事をしてくれたらいいなと思います」。
 

DATA

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
2023年4月28日(金)全国東宝系にてロードショー


すべての命を救うため ―― あのHEROたちが帰ってくる
横浜・ランドマークタワーで爆発事故が発生。数千人が逃げ惑う前代未聞の緊急事態に。「待っているだけじゃ、救えない命がある」【TOKYO MER】チーフドクター・喜多見はいち早く現場に向かうべきと主張するが、厚生労働大臣が新設した冷徹なエリート集団【YOKOHAMA MER】の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と真逆の信念を激突させる。地上70階、取り残された193名。爆発は次々と連鎖し、人々に炎が迫る! 混乱のなか重症者が続出するが、炎と煙で救助ヘリは近づけない。まさに絶体絶命の危機…。さらに喜多見と再婚した千晶もビルに取り残されていることが判明。千晶は妊娠後期で、切迫早産のリスクを抱えていた…。絶望的な状況の中、喜多見の脳裏に最愛の妹・涼香を亡くしたかつての悲劇がよぎる――。もう誰も、死なせはしない。命の危機に挑む医療従事者たちの、勇気と絆の物語。

出演:鈴木亮平 賀来賢人 中条あやみ 要潤 小手伸也 佐野勇斗 ジェシー(SixTONES) フォンチー/菜々緒
   杏/徳重聡 古川雄大 渡辺真起子 橋本さとし 鶴見辰吾 仲里依紗 石田ゆり子
監督:松本彩
脚本:黒岩勉
配給:東宝

©2023劇場版『TOKYO MER』製作委員会

 

PROFILE

要 潤
JUN KANAME


1981年生まれ、香川県出身。俳優。2001年『仮面ライダーアギト』の氷川誠 / 仮面ライダーG3役でデビュー。その後はドラマや映画、CMなどで活躍。主な出演作は、連続テレビ小説「まんぷく」、大河ドラマ「青天を衝け」、ドラマ「拾われた男」「ドクターX」シリーズ、映画『桜のような僕の恋人』『キングダム』シリーズなど。2013年に結婚、2児の父。


写真/金子怜史
取材・文/脇谷美佳子
スタイリング/今井聖子(Canna)
ヘアメイク/井上京子

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