「当たり前」を子供たちに残すためのSDGsとの向き合い方
2022/11/06
「SDGs」という言葉もだいぶ浸透してきたのではないだろうか。でも、実際にどのようなことをしたらよいのか、分からない人も多いだろう。そこで今回は「旅」をテーマにして、どのように行動すればよいかを考える。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際社会共通の目標。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された。地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓い、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されている。
親子で取り組みたいSDGs
「SDGs」という言葉は、テレビ番組などの影響もあり、広く認知されるようになってきました。教育現場では学習指導要領にも組み込まれ、子供から大人までSDGsに触れる機会が少しずつ増えています。
とはいえ、SDGsはグローバルなテーマというイメージが強いため、身構えてしまう大人も多いかもしれません。でも書かれている目標や内容を見てみると、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「人や国の不平等をなくそう」など、実はどれも当然その方がいい当たり前のことばかりです。この当たり前が脅かされ、地球上で、日本で、私たちの暮らす身近な地域でさまざまな問題が起こっています。
SDGsに触れるとき、まずはどんな問題が起きているかを知ることから始めます。そして、その問題の原因は何かを探り、持続可能な世界のために、子供たちが幸せに暮らす未来のために、何ができるか考えて行動すること。“当たり前”を実現するために、親子で取り組んでいきましょう。
学ぶのではなく一緒に考えよう
SDGsで掲げる17の目標は、どれも達成するための方法に正解はなく、自由です。大人はつい正しい答えを探して子供に教えようとしがちですが、「なぜだろう」と問いかけ、解決策を一緒に探していくことが大切です。SDGsは日常生活や仕事など、身近なところにつながっているものがたくさんあり、1つ1つに 目を向けていくと、実は元々「自分ごと」だったことがたくさんあることに気づくことができます。今まで知らなかった考え方や異なる価値観を知る機会になり、SDGsの別の目標の達成にもつながっていくのです。
SDGsを通して、中長期的な視点で子どもたちの未来を捉えることができるようになります。そしてその結果、理想的な未来を見据えた上で、今とるべき具体的な行動が判断できるようになります。つまり、SDGsは子育てに向き合う父親という旅路にとって、迷いなき道標となるコンパスなのです。
旅はSDGsに触れる
絶好のチャンス
今回のテーマである「旅」には、CO2排出量の削減を考えた移動の選択や、環境負荷を考慮した持ち物など、サステナブルなアクションがたくさんあります。そんな中でとても大事なのが、旅は自分たちが暮らしている地域との違いを感じとれるということです。
異なる価値観や、生息する植物やいきものを知ることは、SDGsを実現するうえで重要な「多様性」を意識することにつながります。例えば、外でごはんを食べたときに「なぜこんなにおいしいんだろう」と考えてみるのもいいですし、社会や理科など学校で学んだことを追体験してもいいですね。父親は答えを教えるのではなく、子供と一緒に「問い」を楽しんでみてください。旅には大きな気づきがたくさんあるのです。
持続可能な観光地100選
持続可能な観点で、日本は小豆島をはじめ12ヶ所の観光地が選ばれている。
バリ・グリーンスクール
施設や教育方針にサステナブルな視点を取り入れたスクール。体験キャンプや見学ツアーなどがある。
●親子で一緒に考えよう
●旅にはSDGsの視点がいっぱい
●多様性を知るきっかけに
PROFILE
深井宣光
一般社団法人SDGs支援機構事務局長。SDGs専門メディア「SDGsジャーナル」を運営。専門知識ゼロでもわかるやさしい言葉で伝え続け、理解だけでなく行動を喚起する解説者として注目を集めている。行政や教育機関へのSDGs学習動画の無償提供、企業研修、講演、テレビ出演などSDGs推進・普及活動を行う。現在2児の父。
文:鈴木有子
FQ JAPAN VOL.63(2022年夏号)より転載