宮台真司の”オトナ社会学” 子供に必要な「自然から見られている」という感受性とは?
2020/01/13
最近の社会が「クズ」
だらけである理由
子供が社会に閉じ込められて育てば、幸せな人生はありません。親と同じような不安にかられた「クズ」に育つからです。
現に日本の大人の幸福度は、ものすごく低いのです。僕ら世代の一部は社会の外を知っています。言葉や法や損得の外でシンクロする祭りや性愛を体験しています。
無礼講という言葉が示す通り、祭りも性愛も元は社会の外でした。かつてはどの社会にも、ケ(気=エネルギー充溢)↓ケガレ(気枯れ=エネルギー枯渇)↓ハレ(晴れ=エネルギー再充填)→ケ…という循環があった。祭りや性愛がハレです。
この循環の中で、社会の外に接触してエネルギーを再充填する作法を知る人たちは、社会を「仮の姿」で過ごすので、周囲に過剰適応せず、「クズ」にならずに済みます。
そこから、最近の社会が「クズ」だらけである理由が分かります。「現政権はクズだが、自分のポジションを失いたくない」と発言する若者が典型です。社会は確実に沈みます。
PROFILE
宮台真司 SHINJI MIYADAI
1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)。『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社)など著作多数。
FQ JAPAN VOL.53より転載