夫婦の距離感 vol.01 “産後クライシス”
2014/04/09
妻は、思い通りにならないことへの適応力を高める。これはやがて経験するであろう子育ての予行練習にもなっている。夫は、理不尽なことを受け止める懐の深さを身につける。長い人生において、理不尽に際しても家族を守る覚悟ができているかどうか、試されているのだ。また、妻も夫も、不平や不満があるときには口に出せばいいのだということも学ぶ。そして、夫婦喧嘩に際しても、いつまでも不平や不満をぶつけるだけでなく、お互いに相手を思いやり、助け合わなければ解決できないことがあることを学ぶ。
お互いに、相手を理解し歩み寄る訓練の場として、産後クライシスは存在しているのだ。子供を育てている中で、さまざまな困難や危機に際しても、コミュニケーションパニックに陥ることなく、ふたりがいつでも力を合わせることができるように、関係を強めるための訓練なのだ。
ときには衝突することもあるだろう。大変だがしかし、それも決して無駄にはならない。最終的にお互いを認め合うことができれば、夫婦関係の成長というかけがえのない見返りが待っている。
そう考えると、むしろ産後クライシスがない夫婦のほうが危ない。夫婦が成長するために必要な試練を経験していないということになるからだ。長い人生の中で、これからやってくるであろうさまざまな危機に対処する免疫も作られない。
子供の反抗期を回避しちゃいけないように、夫婦間の産後クライシスだって回避しちゃいけない。そもそも回避しようとしたってうまくいかないから、それ自体がストレスになる。
多くのパパは、「家事をやっても育児をしても、やってもやっても認めてもらえない」「〝いたわり〞や〝ねぎらい〞が大切と聞いて実行してみても、効果は限定的」と嘆く。「やり方が悪いのでは?」という指摘もあるだろうが、そうも言い切れない。産後クライシスに突入してしまっている妻は、どうしても夫のアラを見つけてしまうのだ。脱ぎっぱなしはやめようとか、お酒を飲んで帰るのはやめようとか、どんなに気を付けていたって、最後は「体臭が気に食わない」とかいわれて、八つ当たりされたという事例もある。
やってもやっても認められず、八つ当たりされ、限界になって、他人に相談したときに、「奥さん大変なんだから、あなたが受け止めなきゃ」と、もっともらしいことを言われて、孤立無援と感じるパパも多い。
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