夫婦の距離感 vol.01 “産後クライシス”
2014/04/09
産後クライシスに
立ち向かえ!
海外の研究では、産後数週間にわたって、妻の夫に対する「肯定的感情」が減少することが報告されている。まさに〝産後クライシス〞である。
また、産後の敵対的感情には母乳の分泌を促すホルモン・プロラクチンのレベルの高さが関与していることも報告されている。これこそ産後クライシスの背景にある生理作用である。
つまり、産後クライシスのきっかけは、ホルモンのいたずら。悪いのは妻でもあなたでもない、ということだ。
ただ、たしかに産後のつらい時期をパートナーである夫が理解してくれないというのは、やはり大問題である。それが、産後クライシスという火に油を注ぐことは確かだ。
アメリカで、働く両親を対象に行われた調査では、次のようなことが報告された。父親の場合、同僚や上司と衝突した日に帰宅すると、いつもより子供の相手をせず、ほとんどの場合、自室にこもってしまった。しかし母親の場合、仕事でストレスを感じた日は帰宅してからいつもより子供の相手をよくすることがわかった。ストレスを感じたとき、男性は子育てから遠ざかり、女性は子育てに向かうのである。
ということは、産後クライシスで夫婦間の緊張が高まると、〝男性はますます子育てから遠ざかり、女性はますます子育てに向かう〞という作用が働くと考えられる。悪循環に陥る罠が最初から仕掛けられているわけである。
しかしそこで発想を転換してもらいたい。
産後クライシスを、思春期の子供の反抗期のようなものだと捉えてみたらどうだろう。起こる現象だけを表面的に見れば、やっかいに見えるがそれにはちゃんと意味があり、成長のために必要なもの、夫婦の成長のために欠かせない発達段階のひとつといえるのではないだろうか。
実際、悪いことばかりじゃない。産後クライシスを通して学べることがあるのだ。
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