ようやく、ベビーカーたたまず乗車OKに。公共交通機関でルール化
2014/04/07
昔の常識の危険の基準は、「他のお客様が危険」
これでようやく、「電車の中ではベビーカーはたたむべきかいなか」という論争に一応の決着が付きました。でもそもそもなぜ、ベビーカーを広げているほうが危険というのとベビーカーを折りたたむほうが危険というのと、真逆の理屈が成り立つのでしょうか。
ベビーカーを折りたたんで片手でそれを持ちながら、片手で暴れる赤ちゃんを抱っこして、しかもミルクだのオムツだのの詰まった荷物を肩から下げて、揺れる電車の中でお母さんが立っている状況というのを想像すれば、危ないってことは誰でもわかるはず。どうやって吊革につかまれというのでしょうか。
それでも、昔はベビーカーをたたんでおかないと危険といわれました。いったい何が危険だというのでしょうか。ベビーカーが勝手に滑り出しちゃうことを危険と認識していたようです。つまり昔の常識の危険の基準は、「他のお客様が危険」であるということだったわけ。もちろん赤ちゃんにとっても危険という話もあるんでしょうけど、両手一杯に荷物を抱えている親に抱っこされているよりはましだと思います。いずれにしてもちゃんとストッパーをかけて、しっかり抑えていればいいだけの話。
エスカレーターもまったく同じです。片手にベビーカー、片手に赤ちゃんの状態でどうやってベルトにつかまれというのでしょうか。
今回のアナウンスには、「何かと不自由が多い赤ちゃん連れの安全を優先しましょう」ということを周知する意味合いがあります。その意味で今回、国交省がルールを明確化したことは良いことだと思います。それでも文句を言う人はいるのだと思いますが、少なくとも親たちは肩身の狭い思いをしなくてすみます。
妊婦さんに席を譲るのは、「つらそうだから」ではない!
ちなみに、マタニティマークはだいぶ浸透してきましたけど、これについても誤解が多いようです。そもそもなぜ妊婦さんには席を譲ってあげるべきなのか。「病人でもないのにいい気になるなよ」ということを言う人が、ネットなんかを見ているとときどきいますが、そういうことではないんです。お腹が重くて疲れるとかつらいとかいうことよりも、重心がアンバランスで、転倒の可能性が普通の人より高く、危ないからです。急停車の勢いで妊婦さんが転倒して、お腹が過度に圧迫されてしまったりしたら、場合によっては流産の可能性だってあります。危険防止というのが、妊婦さんに席を譲る主旨なんです。
だから、妊婦さんの側も、「すぐだから大丈夫です」というのではなくて、素直に席に座ってほしい。電車の中で妊婦さんに席を譲って遠慮をされると、私は「危ないから座って下さい」とお願いします。そうするとだいたい座ってくれます。おしりに怪我をしていて座れないということも万が一にはあるかもしれないので、それでも座らなければそれ以上はいいませんが。。。。
妊婦さん自身が「なぜ?」をわかっていないことも多いんです。たとえば「妊婦さんは自転車に乗ってはいけない」とよくいわれますが、街中で通りすがりに、妊婦さん同士が、「自転車乗るなって、こけないってば!」みたいに笑っているのを聞いたことがありました。困ったもんだと思いました。妊婦が自転車に乗ってはいけないのは、転倒の危険性はもちろんあるのですが、それ以上に骨盤底に過度な圧力がかかってしまうからです。
骨盤底を支えている骨盤低筋群への負担が大きくなりますし、子宮も圧迫されます。ただでさえ肥大した子宮や胎児の重さを一点で抱えている股間の部分を圧迫してしまうことが問題なのです。水を入れた水風船をイメージしてください。あれをぶら下げた状態で、下から1点をつついたら、破裂しますよね。例えてみればああいうイメージ。ああ、怖い。