子供に”お金の話”はしても良い? 『パーソナルファイナンス教育』とは
2019/01/28
日本の金融教育は
10年遅れている!?
日本においては、残念ながら金融教育はほとんど実施されていない。既に金融教育を行っている団体や企業も存在しているが、その内容はたいしたものではない。1万円札と同じ大きさに切った紙100枚を封筒に入れ、100万円札の重さを体感させたり、世界中の紙幣を見せたりするだけにとどまっている。これではまともな金融教育が施されているとはとても言えないだろう。大人向けにおいても、結局はどうやったら儲けられるか、はたまたこれを買えば絶対に儲かるなど、怪しいセミナーが多いのも事実だ。では、海外の金融教育はどうなのだろうか。
アメリカとイギリスの
先進的マネー教育
米国ではNPOやNGO、大学が主導して金融教育を推進している。子供が楽しくお金の勉強が出来るように、民間企業がPCで出来るゲームを無料で提供したりもしている。無計画にクレジットカードを使ってしまう若者や、退職後の備えが十分でない世帯が多いため、どのようにお金を貯めるか、ローンとは何かなど米国では日本人が考える金融教育とは少し違う内容も教えている。
英国においては、すべての子供が学校でパーソナル・ファイナンス教育を受けることを政策的な長期目標として掲げ、様々な取り組みを行っている。理由は、多くの子供が18歳の時点で非常に重い学生ローンを背負うことが多いこと。そして、年金制度が確定給付型スキームから確定拠出型スキームに移行したことにより、個人の抱える金融リスクが高くなったことが挙げられる。
私は証券会社時代、タイの証券取引所に行った時、そこにはキッズスペースがあり、子供向けの株の絵本が置かれていた。既に欧米やアジア各国では金融教育が始まっており、日本の子供たちが大人になったとき、お金を操る立場か、操られる立場になるか、幼少期の金融教育によってその明暗が別れるのではないか、と私は危機感を覚えている。
さて、日経平均株価が27年ぶりの高値を記録する中で、家計の金融資産1800兆円のうち、半分以上が未だに現預金である。QUICK社がまとめた9月の月次調査で、専門家たちに現状の打開策を聞いたところ、「義務教育からの投資教育の導入」と答えた人が全体の3割を占め、最も高い数値となった。専門家も金融教育の重要性を十分に認識しているが、投資教育を普及させるための具体的ソリューションはまだ示されていない。我々マネネは、その部分に今、注力しているところだ。
PROFILE
森永康平
株式会社マネネ代表取締役社長CEO。3人の娘(5歳、2歳、もうすぐ1歳)のパパ。証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や複数のベンチャー企業のCFOも兼任。日本証券アナリスト協会検定会員。
マネネ公式HP/Twitter : @KoheiMorinaga
Text >> KOHEI MORINAGA
FQ JAPAN VOL.49より転載