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損得で動く大人に育てるな! 空洞家族にならないための「仲間」とは?

「グローバル化には強い個人が必要」と勘違いしてはいないか? 「仲間」を蔑ろにしてはいないだろうか? その結果、日本には損得を越えられない「クズ」が溢れている、と社会学者の宮台真司は語る。日本社会で生きる我々は、子供に何を教えておくべきだろうか?

グローバル化の中で
分断された「個」

先進社会では、分厚い中間層が支える人間関係資本や、そこから派生する知的水準や交際作法が、グローバル化で急に失われました。分断された個人が孤立する一方で、見たいものけを見るツールとしてのインターネットの発達で、まともな人間関係を欠いても孤独を感じにくくなりました。

遺伝学的には「仲間」と思える範囲は150人まで。定住社会は2万人を超えると匿名化します。僕らの国民国家は数千万や数億の規模で、建国時の熱狂などを除けば国民全体を「仲間」と思えない。だから、戦争で国のために死ねなくなって遠隔操縦兵器が開発され、見ず知らずの国民のために税金を払いたくなくて累進税率も下った。

でも、ヨーロッパには補完性の原則、アメリカには共和政の原則がある。共に「共同体に支えられて自立した個人が、国を支える」と考える伝統です。だから「仲間」の立て直しが絶えず図られる。

ユダヤや中国人の血縁主義を見ると、血縁主義的な絆の力でグローバルな資本主義を戦っています。個人が国境を越えて絆を頼り、絆に助けられるから絆のために頑張る。

ところが日本人は「グローバル化には強い個人が必要」と勘違いするので、グローバル化の戦いに負けます。損得を越える絆があるからこそ損得の戦いでも強いのに、昨今の日本人は損得を越えられないクズだらけだから、グローバルな損得の戦いに負けるのです。



損得勘定が生み出す
「空洞家族」

日本社会は既に荒野です。社会という荒野で仲間を守って生きる作法を樹立できるかどうかが、鍵。恋愛ワークショップで見てきた若い男性たちは損得勘定でしか動けません。

贈与に満ちた恋愛ができず、恋愛の計算不能性に脅える。当然、結婚しても絆に満ちた家族を作れない。損得に閉じ込められた存在が「クズ」の意味です。クズな親が作る空洞家族で育った子は、家族作りを強くは望まず、家族を作っても空洞家族を再生産するだけ。

男性を守ってきた共同体が空洞化し、不安と鬱屈で余裕を失った男性がますます損得に閉じ込められています。女性は子育てを潜在的に意識するからか、損得を越える力が大きい。現に安倍政権支持者には女性が少なく、交際相手がいる未婚女性の割合が未婚男性の倍に及びます。

「仲間のいない個」は絆を作れず、持続可能な家族作りでもグローバル資本主義でも敗北します。浅ましい損得勘定だけで政治に関心を寄せるので、政治家や役人が嘘つきだらけでも失業率や株価だけ見て放置、政治も出鱈目になります。

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