損得で動く大人に育てるな! 空洞家族にならないための「仲間」とは?
2018/07/24
「仲間」がいないことは
損得勘定を加速させる
損得勘定しかできない浅ましさは、「仲間」がいないと加速します。「仲間」がいれば感情的安全が確保され、浅ましい姿を見せたくないと思います。でも「仲間」がいないから恥知らずになります。そうした「寂しい恥知らず」は公=プラットフォームの観念も失います。
ゲームにおけるゲーム盤のこと。損得の経済ゲームもゲーム盤あってのもの。右だ左だという政治ゲームもゲーム盤あってのもの。ゲーム盤が壊れたら経済ゲームも政治ゲームも台無しで、元も子もなくなります。
立憲主義や公文書管理は、左右対立以前のプラットフォーム=ゲーム盤の問題。それをないがしろにする政権が放置されているのは、「右か左かではなく、マトモかクズかの問題」です。
クズにはもう一つ意味があります。絆を失った者が不安を埋め合わせたくて「言葉の自動機械」になること。日本を知らず外国人の友人もいない人が「すごい日本」「中国人と在日が諸悪の元凶」と叫ぶのがそれです。そんな醜悪さが全体主義を呼び出す事実が20世紀半ばに実証的に明らかになりました。
「仲間」がいなくても「システム」にぶら下がれば生きられる時代が続きましたが、オリンピック後には「システム」が立ち行かなくなるでしょう。「仲間」がいない「叫ぶ人々」は梯子を外され、1人寂しく死にます。今の状態が続かないということ。その時に淘汰されないように子育てする必要があります。
負け組にならない!
正しい仲間づくりとは
非血縁社会だからこそ仲間意識が大事
ユダヤや中国のネットワークなど血縁によって強固に結びついた世界と戦うには、仲間を徹底的に守る覚悟を持とう。
「個」を自立させ強くするのが仲間だ
仲間に恩義を返すために戦う、仲間に恥ずかしい姿を見られたくないという感情が「個」を自立させる。
損得勘定で動くクズな大人になるな
仲間を作れないどころか、結婚しても絆をベースにした家族すら作れない。損得勘定の枠内に閉じ込められたクズな親の枠組みに、子供を拘束してはいけない。
PROFILE
宮台真司
1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)。『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社)など著作多数。
FQ JAPAN VOL.47(2018年夏号)より転載