夜中に子供が熱! 人気小児科医が教える親のNG行動
2017/02/09
子供の病気を悪化させないため、新たな病気を生まないために、親が心がけるべきことを、“日本一忙しい小児科医”鈴木先生にお話を聞いた。
本当は必要ないのに入院させる?
親が知らない「社会的入院」とは
2016年秋に出版されて間もなく「Amazonこどもの医学」で1位を獲得した、『日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術』。この本の著書で、3児の父でもある小児科医の鈴木幹啓先生は、「子供が病気のとき、親の間違った対応が原因で、さらなる悪循環を引き起こす場合がある」という。
実は、必要もないのに医者は患者を入院させることがあります。病状としては入院する必要はないけれど、「この親は家でこの子を看護する精神状態にない、能力がない」ということを医者は判断し、入院を提案することがあります。これを「社会的入院」と言います。
そのとき小児科医は「あなたにはこの子のことを見ることはできない」とは言わず、「お子さん辛そうなので」と言います。小児科医というものは、子供を診るときに親のことも見ています。
過剰におどおどしたり、判断能力・看護能力の低い親がいる家庭では、子供が病気になるたびに社会的入院ということが続くことになります。そうすると、さらに親は「他の子は1回も入院したことないのにこの子は5回入院した」→「自分の子供はなにか違う病気なのではないか」→「大きな病院に行ったほうがいいんじゃないか」→「この子の体が弱いので調べてください」と、負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。しまいには「うちの子は、がんではないか」と思ってしまう親もいます。
これが、本当は大きな病気ではなくても、親の対応ひとつで、親も子供も不幸にしてしまうということです。(鈴木先生)
「急に子供の具合が悪くなった」とき
親がやってはいけない3つのこと
「社会的入院」や子供の病気の悪循環を引き起こしてしまう親のNGな対応とは? 鈴木先生の著書でも紹介されている「子育て3か条」について教えてもらった。
1.「おどおどしない」
親がおどおどしている場面を見ると“自分のことをかまってくれる”という意識が子供の心に潜在的に埋め込まれます。それを逆手にとり、もっとかまってほしくて過剰な演技をすることがあります。それを「疾病利得(しっぺいりとく)」といい、そんな子供の様子を見た親がさらに動揺する……という悪循環になることも。心の中では心配しても、いつでも冷静な態度で対応しましょう。
2. 急がない」
例えば、「夜中1時に熱が出た」としても、急いで病院へ行く必要はありません。深夜の病院は担当当直が1人であるケースがほとんどで、まさに「死ぬか生きるか」の緊急対応のためのもの。それ以外の、ただの風邪などの場合、深夜に慌てて病院に行っても利益になりません。発熱や風邪に似た症状の場合は、一晩様子を見て、翌日の朝病院へ連れて行きましょう。
3.「怒らない」
子供の体調が悪いときは、機嫌が悪く、親に甘えたいもの。たとえば子供に抱っこをせがまれたとき、他に何か大事なことで急いでいたとしても、そこで怒ったら逆効果です。子供が甘えたいときだけは怒ることを我慢するのが大事なのです。
■教えてくれた人
「すずきこどもクリニック」院長
鈴木幹啓
1975年10月2日生まれ。日本小児科学会認定小児科専門医。日本小児科学会、日本小児感染症学会、日本小児アレルギー学会、日本小児呼吸器疾患学会、日本小児皮膚科学会所属。現在3児の父(長女11歳、次女9歳、長男3歳)。 34歳の若さで和歌山県新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。年間患者来院数は約48,000人。
鈴木先生の小児医療の知識と子育てノウハウが詰まった一冊
『日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術』
¥1,000+税
鈴木幹啓 著作
双葉社 刊