【小児科医監修】子供のケガ応急処置マニュアル〜パパママができることは?
2024/11/01

ハイハイができるようになったり、歩けるようになると、子供はあちこち動きまわり、ケガをする確率がグンと上がる。 予防はもちろん、対処法を覚えて、我が好の身を守るべし!
予防、対処法、適切な処置
大切な3つのステップ
「社会は進化している。その反面、危険を察知する人間の能力は衰えてきてしまっている」
ぞうさん先生のニックネームで子供たちに親しまれている鈴木こどもクリニック院長・鈴木洋(すずき よう)先生は言う。
「大切なのは、次の3つのステップ。それを親がどう意識するか。意識することが非常に重要です。
そのステップとは、まず予防。次にケガした時の対処法。そして適切な処置です。

親は子供がケガをした時に動揺してパニックになりがち。でも、それはしょうがないことなんです。だから、正しい知識を身につけることが大切です」。正しい対処と処置がなされれば、事故を防ぐ、傷が残らない、発達的成長に影響を与えないといったことから、極端な話、心肺停止といった危機的状況でも、親自らが子供を蘇生することだってできる。
自分の観察眼を信じる!
それで事故は減らせる
「外には楽しみがたくさんある。子供にとって、それらすべてがアドベンチャーです。だからその楽しみを排除するのではなく、危険を予測し察知すればいい。そのために必要なのが、あらゆる視点で物事を観察する力です」。
ブランコ、ジャングルジムなど公園の遊具もたくさんの危険が潜んでいる。対象物を知るだけではなく、我が子にどこまでのことができるかの成長度も理解しておく必要がある。
「ちょっとしたケガなら、教育的な意味で子供にとっていい経験。だから家庭内では尖っているもの、コードなど、できるかぎり危険なものを排除し、不慮の事故を予防したいものです」。
20歳未満の死亡の第1位が不慮の事故。0歳児の死亡原因の約8割が不慮の窒息だ。転倒・転落・誤飲・やけど・溺水・窒息が大半を締める。ピーナッツでも窒息の原因に充分なりうる。母子手帳には「誤飲チェッカー」が載っているので、飲み込むと危険な大きさのものは確認しておきたい。
「救急車を呼ぶのをためらうのはよくわかります。救急にむやみに駆け込んで、本当に処置が必要な子供への治療が遅れるのでは、という迷いもわかります。しかし、気にする必要はありません。そのためらいがあること自体、充分良識的な親であるということ。自分の感覚を信じ、様子が違うと感じたら、ためらわず近くの小児科などに駆け込んでください」。
子供に起こるケガと対処法
神経が未発達で防御反応がまだうまく働かない子供にとってケガは日常茶飯事。体のバランスも悪く、危険を予知する能力もまだまだ不十分だ。
些細なケガは大きな病気を招くことになりかねない。しっかり対処法を学んでおこう!
日常で起こるケガ
・擦りむいた
・切った
・刺さった
・ぶつけた
・やけど
・ねんざ
・つき指
頭や顔のケガ
外出先(公園・山・川・海・etc)で起こるケガ
・動物に噛まれた
・おぼれた
・何かでかぶれた
・虫に刺された
【その1】日常で起こるケガ(擦りむいた・切った・刺さった・ぶつけた・やけど・ねんざ・つき指)
【その2】頭や顔のケガ(顔をぶつけた・頭をぶつけた・打った誤飲・誤えん)
【その3】外出先(公園、山、川、海)で起こるケガ(動物に噛まれた・おぼれた・かぶれた・虫に刺された)
監修
鈴木洋(すずき よう)

信州大学医学部卒業。東大病院、愛育病院勤務を経て、90年に「鈴木こどもクリニック」を開業。著書に「ぞうさん先生の子育てトーク」(毎日新聞社)、「初めての育児0〜3歳」(西東社)など多数。
参考文献「こんなときどうする!?子どものけが」鈴木洋 著(チャイルド本社)
Illustration » KOUICHI KITA
FQ JAPAN VOL.22(2012年春号)より転載
※2014年に公開した記事の更新版です