パパ友の輪はなぜ広がりにくいのか
2014/11/04
オスは、メスにとって「扱いやすい」ようにできている
これ、女性たちからよく非難される「どうして男は言われないとやらないのか」というやつにも通じる気がする。女性同士なら高い共感力によって、相手の思いを察して自分の役割を認識し、動くことができる。しかし、男性の場合、それが苦手であることが多い。命令によって役割を明確化してもらわないと動けないのだ。だからママたちに対しては「パパには明確に指示を出してください」と拙著『パパのトリセツ』で訴えているのだ。面倒くさいだろうけれど、いつまでもイライラさせられるよりはましでしょうという提案として。
大好きな福岡伸一博士の『できそこないの男たち』によると、生物学的に考えれば、アダムからイブができたのではなく、イブからアダムができたということらしい。つまりメスが先にありき。もっといえばメスこそが種の源であり、オスはメスを補助する役割として創造されたらしい。「ママの遺伝子を別の娘に届ける」という運び屋として。
ただ、運び屋として利用するだけではもったいないということで、メスはオスにいくつかの付加価値を求めた。外敵から守ることだったり、食料を取ってくることだったり、子育てをすることだったり、前人未踏の危険な土地を冒険させてもっと住みやすいところがないかを探させたり……。つまりメスがオスをうまく使いこなすことにより、種はさらに繁栄したといえるようなのだ。
何が言いたいかというと、種としてみれば、メスがいかに上手にオスを使いこなすかが、その繁栄に大きく関わるということ。メスが君臨し、オスがその指示に従い、ときに食料を持ち帰り、ときに外敵と戦い、ときに子育てするというのは有性生殖が始まって以来の伝統的スタイルであるということだ。
くり返す。女性が男性を上手に使いこなせるかどうか、それが種の繁栄に大きく関わる。そのために、オスは、メスにとって「扱いやすい」ようにできている。
さらに、京大の総長・山極寿一さんの『家族進化論』によれば、ゴリラのように屈強なオスのボスザルがハーレムを作り君臨しているのも、結局はそのほうがメスにとって都合がいいかららしい。逆に、ニホンザルのように、ボスザルはいても、複数のメスが複数のオスと乱交するような群れを形成している種では、オス同士の緊張が増さないように普段メスはとりあえずボスザルと交尾をするが、妊娠の確率が高い時期にはボスザルの目を盗んで好みの雄と交尾するそうだ。すべては女性の手中にある。
つまりもともとオスは、メスの手のひらの上で転がされるようにできている。
もちろん人間も同じだろう。それでいいのだ。
あれ? パパ友の輪の話から、とんでもない方向に話が行っちゃった。
※参考文献:
『共感する女脳、システム化する男脳』 『できそこないの男たち』 『家族進化論』
<おおたとしまさ氏の記事>
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おおたとしまさ(TOSHIMASA OTA)
株式会社リクルートを経て独立。男性の育児・教育、子育て夫婦のパートナーシップ、無駄に叱らないしつけ方、中学受験をいい経験にする方法などについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、ラジオ出演も多数。
おおたとしまさの著書一覧
(2014.11.4up)