父親になる前に知ってほしい「新しい時代の、新しい父親像」とは?
2014/10/14
ここのところ「新しい父親像」についてずっと考えている。 ここ数年で「イクメン」は確かに増えたが、母親と同様に甲斐甲斐しく育児家事をやるだけの父親、ダブルマザー化したパパを「本質的な父親」と捉えることができるだろうか?という疑問が、かつてより僕の中に燻っている。
ここのところ「新しい父親像」についてずっと考えている。
ここ数年で「イクメン」は確かに増えたが、母親と同様に甲斐甲斐しく育児家事をやるだけの父親、ダブルマザー化したパパを「本質的な父親」と捉えることができるだろうか?という疑問が、かつてより僕の中に燻っている。
また最近記事化した『パタニティブルー』『家事ハラ』(本来の意味と違うが)、AERAやNHKクローズアップ現代の特集『男がつらいよ』など、男性に関するネガティブなものが喧しい状況は明らかに「揺り戻し」だ。
また自治体の両親学級で「よい父親になるための勉強に熱心なプレパパたち」の登場は頼もしさの反面、育児でも仕事のように完璧を目指しリスクヘッジに走るきらいがあるように思う。さらにファザーリング・ジャパン(FJ)のセミナーでは育児が始まって数年経ったパパたちからマジ顔で、「安藤さん、父親ならではの子育てって何ですか!?」と詰問してくる人が増加している。そうしたパパたちの様子を観ても、そろそろ「父性再考」の時代が来ている気がするのだ。
けれどもこうなることは最初から分かっていた。FJを始めた頃に出版され読んでいた『フランス父親事情』には、80年代にフランスでも「めんどりパパ現象」が起きていたと記されていて、その情況はまさに現在の日本の「イクメンブーム」と酷似している。
「たぶん日本もそうなるだろうな」と、僕も折込み済みで父親育児を推進したのだが、やはりそうなった。でも「男性育児の社会化」にはまずこのフェーズが必要だったと思うから、ブームはある種の「通過点」としよう。現在の日本の父親情況は30年前のフランスであり、まだ発展途上の中にあるのだ。
そして今後ようやく「量から質への転換」が始まる。遠からず「イクメン」という言葉が消滅するとき、父親像のポストモダンが生まれるはずだ。それはおそらく、「おやじの背中」という言葉に象徴される「威厳」や「支配力」を要諦とするかつての「家父長型の父性」ではなく、「新しい時代の、しなやかな父性」を携えた姿になるはずだ。
現代の「母性化した家庭・地域」は子どもにとっても生きにくいはずだ。子どもの育ちにとって、「母性と父性のバランスよい共存がある環境」こそが、おそらく重要で、ファザーリングの第2フェーズにおける目標はそのあたりに係ってくると思う。
「新しい時代の、新しい父親像」。あなたはどうお考えですか?
<FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線>
第1回 「パタニティー・ブルー」をどう乗り越えるか!?
<イクボス集中講座>
第1回 イクボスって何?
第2回 イクボス実践パパの実例を紹介します!
第3回 管理職も多数参加! イクボスイベントを詳細レポート
第4回 イクボス事情、最新動向 そして「イクボスアワード2014」開催!
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。一時期は副代表であったが、2014年に再度代表に就任。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
(2014.10.14up)