テニス指導者の松岡修造さんも悩みながらの子育て…父親業は続く!
2014/09/15
テニス全米オープン準優勝を果たした錦織圭選手。彼は11歳のとき、松岡修造氏が主催するジュニアトップ育成キャンプ「修造チャレンジ」に参加していた。テニス全米オープン準優勝の錦織選手の“恩師”、松岡修造氏の子育てとは?
3児の父・松岡修造、子育てに大いに悩む……
我々親たちは子供と生活しながら時折、痛感させられることがある。子育ては難しい、と。でも、頭を抱えてばかりはいられない。どうすれば子供のためになるのかを考え、実践する毎日なのだ。
テニス指導者、スポーツキャスターとして活躍する松岡修造さんもそんな親のひとりである。
「僕には3人の子供がいます。父親として彼らとどう向き合うのか、何を伝えるべきなのかは、ひとりひとり違う。その子なりの育て方を見つけていこうと思っているので、そこの部分は苦しんでいるというか、日々悩みながらの子育てですね」。
ちょっと意外な返答であった。テニスのジュニア選手を育成する「修造チャレンジ」などで多くの子供たちと接する機会の多い松岡さんでも、悩みながらの子育てをしていたのである。
「テニスのジュニア選手を叱る前には、相当使う言葉を選びます。その選手を、最終的にどういうカタチでフォローして、どう自信をつけさせてあげるか、そこまで絵が見えてから始めます。でも……自分の子供に対してはやっぱり感情的になってしまう。間違った叱り方をしてしまうこともしょっちゅうですね。
子供の遅い行動にイライラしてしまい、冷静になれない自分がいます。もしも僕がジュニア選手たちを指導するように自分の子供たちと接していればどれだけいいかと、いつも思いますよ」。
感情的に叱らないためにはひと呼吸が大事
子供を叱っているつもりが親自身の都合でいつの間にか怒ってしまっている。我々も彼のような経験に覚えがあるのではないだろうか。
「感情的に子供を叱らないように、僕は常に自分自身を客観視してひと呼吸置いてから叱るようにしています」と、松岡さんは言います。子供たちの教育方針について奥さまと話し合うこともしばしばだ。
「妻とはことあるごとに子供たちのことについて話し合う方だと思います。でも妻は『もっと話して欲しい』と思っているかも知れません」。
時には奥さまと衝突することもある。
「教育方針はムチャクチャぶつかりますね。僕は子供を過保護ではない愛情のなかで自由奔放に育てたい、妻としてはもっともっと子供の面倒を見てあげたいっていうのがあって……。四六時中、子育てをして、子供同士の付き合いも見ている妻は、例えばよその子供にできて自分の子供にはできていないことがどうしても見えてしまったり、ついつい周りと比べてしまう。
でも僕は『関係ねーだろ』と思っちゃう。特にウチの子は3人なので、それだけで楽しいわけだし、そこで色んな社会を感じることができると思うんですよ。夫婦の話し合いで結論が出ないことも多いんですが、譲れるものは譲ります。なぜなら、常に自分のことは二の次で子育てを頑張ってるのは僕ではなく妻ですから」。
松岡さんは子育てに対する考え方は、自身の父親の影響が強くあるという。
「僕は高校生の頃、一般的に名門と言われる学校に入学したのに、僕の意志で『テニスの強豪・柳川高校に編入したい』と我がままを言ったんです。それに対して父は自分の固定概念を押し付けずに、『自分が行きたいなら編入していいぞ』と、僕の考えを尊重してくれた。そんな父を僕は最も尊敬していますし、今でも僕のことを一番分かってくれていて、一番いいスタンスで関ってくれています。僕にとって「父」とは最終的には何があっても守ってくれる安全地帯なのです」。