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「対等」よりも「主従」で子育て夫婦円満

夫婦間に生まれるカタチのない「貨幣」

しかし夫婦ともに正社員でほぼ同条件で働いていると、いざというときにどちらが対応するのかが明確にされていないことが多いようだ。「条件は同じなのだから、対等に」という暗黙の了解のもと、そのときどきで「面倒」(もちろん本当の意味での面倒ではないのだが)を押し付け合う。そのたびに「どっちが忙しいか競争」になる。「競争」に負けた方が「面倒」を引き受ける。しかし納得はしていないので、不公平感や、相手に対する恨みが残る。

こうなると、「多忙」や「疲労」というものが、家庭の中であたかも「貨幣」のように機能し始める。多くの「貨幣」をもっているほうが、相手に「面倒」を押し付けることができるのだ。夫婦の間で常に、どちらがより多くの「貨幣」をもっているかという「競争」になる。夫婦関係はギスギスしはじめる。「対等」という言葉のマジックにとらわれて、常に対等であろうとする正社員夫婦は、「多忙」や「疲労」という「貨幣」が支配する市場原理にからめとられていく。そういう家庭環境で育てば、子供も、「忙しいことや疲れていることは偉いことなんだ」と勘違いするだろう。

子育て夫婦における「対等」とは、いつも同じ立場・役割というのではなく、「いざというときに、仕事よりも子供や家のことを優先する担当」に就く機会を平等にするということ。「この時期は夫、この時期は妻」というように、「育児家事における主従」を状況に合わせて入れ替えればいい。理屈ではそうだ。しかし実際はそれぞれの仕事のピークが重なってしまうことも多いだろう。 だから私は、正社員同士の子育て夫婦は、経済的には安定しているものの、日常においてはリスクの連続であると、講演の中で指摘した。ちなみに、いちばんいいのは、一方が安定収入のある正社員で、一方が手に職を持ったフリーランスという組み合わせだろうと私は思っている。

※正社員同士の夫婦のリスクについては、このコラムがもっと広い視野で非常に的確な指摘をしているので、ぜひ読んでほしい。
・「男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない」
http://blogos.com/article/90711/?p=1

<おおたとしまさ氏の記事>
ようやく、ベビーカーたたまず乗車OKに。公共交通機関でルール化(2014.4.7UP)
https://fqmagazine.jp/8371/babycar-2/
我が子の入学式に参加するために勤務先の学校の入学式を欠席した高校教諭の件の本質(2014.5.5UP)
https://fqmagazine.jp/10482/oota2/
「根拠のない自信」こそ、育てよう(2014.6.2UP)
https://fqmagazine.jp/11729/oota3/

育休取得より大事なこと(2014.7.7UP)
https://fqmagazine.jp/13514/oota4/

0407_01育児・教育ジャーナリスト
おおたとしまさ(TOSHIMASA OTA)
株式会社リクルートを経て独立。男性の育児・教育、子育て夫婦のパートナーシップ、無駄に叱らないしつけ方、中学受験をいい経験にする方法などについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、ラジオ出演も多数。
おおたとしまさの著書一覧

(2014.8.5up)

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