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約150人のアンケート調査で見えた。障がいを持つ子供の親が抱える悩みと本音

障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ「インクルーシブ教育」をご存知だろうか。「インクルーシブ教育」に関するアンケートを通じて、障がいを持つ子の親がどのような問題を抱えているのかが明らかになった。

多様な特性に求められる対応

東京パラリンピックの開催などを通じて、近年は障がいを持つ人たちへの認知が広まっている。現状の課題としては、様々な特性を持つ子供たちへのきめ細かい対応が求められている状態だ。

障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶという理念。それが「インクルーシブ教育」だ。 保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する株式会社明日香は、関東在住で18歳未満の障がいを持つ子供がいる保護者153名を対象に、「インクルーシブ教育」に関する調査を行った。

障がいを持つ子供のパパ・ママの要望とは?

調査ではまず「現在の自治体における、子育て支援の充実度を1(最も不満)〜10(最も満足)」の10段階で評価してもらった。その結果、5~7が6割を占めたものの、3割が1~4と回答し、子育て支援の充実度にまだまだ不十分さがあることが窺える。

具体的な不満としては、「同じ境遇のご家庭同士で交流できる場がない」が46.4%と最多であった。

実際、「療育センターや支援施設などで、同じ境遇のご家庭同士で交流のできる場に参加したことがありますか」の問いには、約5割が「1度もない」と答えている

また、「現在あなたがお住まいの地域では、児童館や子育て拠点支援センターなどにおいて、同じ境遇の家庭同士が交流できる場が設けられていますか」の質問に、55.6%が「わからない」と答えている。

「同じ境遇のご家庭同士で、気軽に交流できる場がもっと身近に欲しいですか」の質問にも8割が「非常に欲しい」「やや欲しい」と答えた。

「交流できる場が欲しい理由」という質問については、「子育てに関する不安を共有したいから」が61.1%、「情報交換をしたいから」が61.1%、「同じ境遇のママ友・パパ友が欲しいから」が54.0%という結果だった。

以上をまとめると、パパ・ママたちは語り合える仲間がほしいと思いつつも、そうした場がどこにあるかわからず、交流の機会を得られずにいる、という構図が見えてくる。

自治体はこうした声に応え、交流の場の設定や情報発信を強化すべきだろう。

インクルーシブ教育に必要
なものは?

子育ては「孤育て」と言われるほど、様々な困難を家庭内で解決することが求められる。必要なのはパパママたちが不安を共有して安心感に変えられること、情報交換して支えあう関係を作れることだろう。

もちろんそこには、地域の人たちや行政が適切に関わることが欠かせない。

インクルーシブな教育は、ただ共に教育を受けることで実現されるものではない。まずは当事者が抱える問題やニーズを、社会がどう受け止めるかが問われる。

〈調査概要〉
「インクルーシブ教育」に関する調査
●調査方法:インターネット調査
●調査期間:2021年9月29日~同年9月30日
●有効回答:関東在住で、「18歳未満」の障がいを持つお子さんがいる保護者153名




文:平井達也

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