注目キーワード

インタビュー

家族の在り方とは? ムロツヨシが映画『マイ・ダディ』と今の子供たちに思うこと

公開中の初主演映画『マイ・ダディ』でシングルファーザーを演じた、ムロツヨシさん。ムロさんが思う、“家族や仲間を信じること”の大切さとは?

筋金入りのお調子者で、
人見知りが“できない”

人の心をとらえて離さない、“握力”の強い人。ムロツヨシさんに対して、そんな印象を抱く人は多くいるはずだ。思わず惹きつけられる、ユニークな世界観。知性と経験を感じさせる、ウィットに富んだ言葉。さらには、他者への好奇心や鋭い観察眼など。俳優・ムロツヨシさんは、一朝一夕では身につかない、高い人間力をもつ人といえるだろう。

聞けば、幼少期から今にいたるまで、人見知りをした経験がないという。「子供の頃は、みんなに注目してほしくて、いつも周囲に自分をアピールしていました。要は、筋金入りのお調子者で、人見知りが“できない”タイプなんです。役者を始めてからも、初対面の人にどんどん話しかけたりしていたので、若い頃は『人の懐に入るのがうまいね』なんて言われましたよ」。

他方で、相手の気持ちや立場をおもんばかる、繊細な面も持ち合わせている。例えば、ムロさんが初主演を務めた映画『マイ・ダディ』でのエピソード。ムロさん扮する牧師、御堂一男の娘役を演じた中田乃愛さんは、2019年にデビューした新人女優だ。現場では、中田さんがスムーズに演技できるよう、仕草やセリフの調整が行われる場面があったという。また、ムロさんがそうした調整を提案することもあったそう。当時について、ムロさんはこう語る。

「『中田さんをサポートしてあげよう』といった、おこがましい気持ちは決してありませんでした。ただ、『無理しないでね』『分からないことがあったら聞いてね』という気持ちで接していましたねこちらからアドバイスはしませんが、中田さんが僕に聞きたいことを気軽に聞けるよう、近すぎず、遠すぎもしない場所にいました」。

今の子供や若者は
未知の世界で生きている

現場におけるムロさんの姿は、娘を辛抱強く見守る父親のようでもある。その姿の背景には、中田さんや、中田さんと同世代の若者を尊重する姿勢もある。

僕らの世代よりも、若い世代のほうが理解できている物事ってあると思うんです。世代間には考え方の違いがあることを、よく理解している子も多いでしょう。『きっと、私の考えは伝わらないだろうな』という思いを抱いている子だっているはずです。若い人とは、彼らの思いや知性をふまえて接するようにしています」。

大人と、子供を含む若年層の間に壁ができる要因の1つに、オンラインゲームをはじめとする新進のツールがあるのでは、とも話す。

「今の子供や若者は、インターネットやオンラインゲームが当たり前にある環境で育っています。つまり、僕らが経験したのとは違う世界で生きているんです。自分の経験をふまえ、彼らのことを理解するのは難しいのでは、と思います。今、子育てしているパパやママも、同じような悩みを持っているのではないでしょうか。僕の友人夫婦も、オンラインゲームにハマっている子供について『ゲームをやめさせるべきかどうか、分からない』と悩んでいました」。

次々と災いが起こるも
根底に流れるのは“家族愛”

映画『マイ・ダディ』では、小さな教会で牧師を務めながら娘を育てる一男が、娘の病気や亡くなった妻への疑惑に直面し、苦悩する姿が印象的に描かれている。次々と災いに見舞われる一男の姿を前にして、つい目を覆いたくなるが、やがてはっきりと浮かび上がってくる“家族愛”に救われるはずだ。また、本作では、人を信じることの難しさ、そして大切さも、1つのメッセージとして描かれている。

ムロさんは読者に向けて、こうメッセージを紡ぐ。

世の中には、様々な家族がいますよね。それに、パパやママの数だけ、意見が存在すると思います。『マイ・ダディ』を観て『うちの家族もこのようにありたい』と思ってくださる方もいれば、これとは全く違う感想をもつ方もいるでしょう。パパ、ママが我が家の家族の在り方を考えるきっかけになってくれば嬉しいですね」。
 

DATA

映画『マイ・ダディ』
絶賛公開中!


小さな教会の牧師・御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生になる一人娘のひかり(中田乃愛)と2人暮らし。8年前に最愛の妻を亡くしてから、穏やかな日々を送っていたある日、突然ひかりが倒れてしまう。運ばれた病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、更に信じがたい事実が発覚する。なんと、娘との血縁関係がなかったのだ! 最愛の娘を救うために、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る……。

出演:ムロツヨシ
   奈緒 毎熊克哉 中田乃愛
   臼田あさ美 徳井健太(平成ノブシコブシ) 永野宗典 小栗旬 光石研
配給:イオンエンターテイメント

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

 

PROFILE

ムロツヨシ
ムロツヨシ
1976年生まれ、神奈川県出身。大学を中退して俳優養成所に入所し、役者の道へ。現在は、舞台のほか、ドラマや映画でも活躍中。インスタグラムのフォロワーは300万人以上。主な出演作は、ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ、「空飛ぶ広報室」「おんな城主 直虎」「大恋愛〜僕を忘れる君と」「今日から俺は!!」「親バカ青春白書」、映画『銀魂』シリーズ、『ボス・ベイビー』(日本語吹き替え版)など。
 


写真:松尾夏樹
取材・文:緒方佳子
スタイリング:森川雅代(FACTORY1994)
ヘアメイク:池田真希

衣装:ニット¥63,800(税込)(ALMOSTBLACK info@almostblack.jp)、カットソー¥20,900(税込)(YOKE/ENKEL 03-6812-9897)、パンツ¥20,900(税込)(STILL BY HAND/STYLE DEPARTMENT 03-5784-5430)

 

FQ JAPAN VOL.60(2021年秋号)より転載

関連記事

育児アイテム名鑑

アクセスランキング

  1. 1日数時間で!? おむつが外れるトイレトレーニングが凄かった
  2. 男が「父親」に覚醒するための10の処方箋
  3. SEXで大事なのは「触れあい」と「思いやり」
  4. 中川家「あの頃の父がいたから、今の僕らがいる」
  5. 子供に自信をつけさせるメンタルトレーニング
  6. 雑誌『FQ JAPAN』2024年春号 3/8(金)発売!
  7. ペダルが後付けできる! 3歳からのキッズバイク6選
  8. 子供が親によくする質問ベスト30を紹介「なぜ空は青いの?」
  9. 子供が怖い夢を見たらどうする? パパとママがしてあげるべきこと
  10. パパになったら絶対に使いたい! 子育てが圧倒的に楽しくなる厳選「父親向け育児アプリ」...

雑誌&フリーマガジン

雑誌
「FQ JAPAN」

VOL.70 | ¥550
2024/3/8発売

フリーマガジン
「FQ JAPAN BABY&KIDS」

VOL.68 | ¥0
2023/2/29発行

特別号
「FQKids」

VOL.17 | ¥715
2024/2/9発売

お詫びと訂正

  第16回 ペアレンティングアワード