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インタビュー

育児と仕事で疲れた心を癒やす「サードプレイス」の探し方って?

文字通り“第3の場所”を意味する「サードプレイス」。耳馴れない言葉だが、その概念を日々の生活に取り入れれば、働き方をも考え直すきっかけとなるかもしれない。不登校やニートを支援している「officeドーナツトーク」代表の田中氏に聞いた。

家庭でも職場でもない
第3の場所で自分を開放する

一般社団法人として、不登校やニートを支援している「officeドーナツトーク」代表の田中氏。日頃の活動を通して気付いたことがあるという。それは日本の、特に多くの成人男性が、「職場は緊張感の高い場所で、家庭は安息の場所」だと、”勘違い”していることだという。

「先進国においては、むしろ家庭の方が職場より緊張感が高い場合も多いんですよ。そして、そもそもある程度は緊張感のある『職場』と、意外にも緊張感の高い『家庭』の2つしか世界がなくて、つまりほぼ常に緊張している状態にいるというのは、やはり不幸なことだと思います」。



確かに世の父親たちは、子育てや夫婦関係などプライベートシーンでも、常にプレッシャーに晒されている。途切れることのない緊張のために、”本当の自分”を出す場所がなく、それどころか仕事において”真価を発揮できない”……なんて困った事態も起こり得るワケだ。これは理想のWLBを実現するためにも、解決の必要がありそうだ。

サードプレイスってなに?

「私は大阪府西成区の学校内で、問題を抱えた高校生たちの”居場所”「となりカフェ」を運営しています。彼らにとっては家庭でもないし、授業を受けるという意味での学校でもない第三の場所。つまり”サードプレイス”なんです」。

サードプレイスの特徴は、ある個人に繋がるための場ではなく、その空間に参加することが目的だということ。

「その場所に行くことで、結果的にAさんやBさんと接することになるかもしれませんし、日によっては、彼らは来ていないかもしれない。行ってみないとわからないんです。でも誰かとのコミュニケーションがあることだけは保証されています」。

田中氏が”となりカフェ”で高校生を見ていて感じたのは、『人は完全に統御された空間ではなく、少し”余白”のある空間を求めている』ということだった。

「これを大人に当てはめてみると、イギリスならパブ、フランスならカフェなど、まさにサードプレイスと呼べる場所が存在します。でも、グローバル化されすぎた日本やアメリカには、そうした場所は、もはやあまり残されていないんですよ」。

サードプレイス
を探してみよう

では、そんな日本におけるサードプレイスを、ちょっと積極的に探してみる。

休日に友人と興じるフットサルや、日課になっている早朝のランニング、あるいはランチタイムで足を運ぶお気に入り食堂、趣味の道具を購入するホビーショップはどうだろう? あるいはサードプレイスを”概念”にまで広げれば、『ブログを書く』という行為だって、サードプレイスといえないだろうか?

「その通りですね」と、田中氏は続ける。「サードプレイスの定義については、まだまだ探求の必要もあるとは思います。でも、僕が接している高校生たちだけでなく、きっと働く大人たちにとっても、理想のWLBを考える時に、職場と家庭、そしてサードプレイスを加えることで、人生はより豊かになるのではないか、と私は考えているんです」。

家庭でも職場でもない、自分を開放できる3つ目の場所──試してみる価値、ありそうではないだろうか?

PROFILE

田中 俊英

出版社起業、子ども若者支援NPO法人代表(02~12年)のあと、2013年より一般社団法人「officeドーナツトーク」代表。子供や若者の問題(不登校・ニート・ひきこもり・貧困問題等)の支援を行う。


Text >> MUNEKATASUMITO

FQ JAPAN VOL.30より転載

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