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教育と人材育成は違う!  おおたとしまさ氏が語る、幼児教育の心得とは?

世の中には、子供の教育に関する様々な憶測や学説が飛び交っている。そのたびに親たちは情報に流され、慌てて、ジタバタする。そんなときは、一度立ち止まって、“教育の原点”について考えてみてほしい。教育に悩めるパパ・ママに向けた、教育ジャーナリスト・おおたとしまさからの処方箋。

教育の成果の可視化は
原理的に不可能

教育の効果を数値化・可視化して、「教育を科学する」のが流行のようだ。しかし、そもそも人間の価値はどうやったって数値化・可視化できない。その人間を育てる営みが教育である。つまり教育の価値や成果を数値化・可視化することは原理的に不可能である。そのことは忘れてはいけない。

教育によって得られる成果は人によって違う。ある人は勉強して身につけた知識と技能を利用して画期的な発明を成し遂げ、大金持ちになるかもしれない。ある人は勉強して身につけた教養とコミュニケーション能力でたくさんの仲間を作り、社会を変革するかもしれない。またある人は数学の世界にのめりこみ、食べることも忘れて数式の美しさに没頭するかもしれない。さらに、その成果は、教育を受けたその瞬間に表れる場合もあるし、数十年後に表れることもある。それこそ、人の数だけ、勉強の意味がある。
つまり、その子供が勉強して何を得るのかを、予言することはできない。要するに、勉強の価値は、やってみなければわからない。教育とは本来、「こうすればこうなる!」と効果をうたえない類のものなのだ。しかし実際は「こうしたらこうなる!」と効果をうたう教育系コンテンツや、「これからのグローバル社会を生き抜くために」という脅しの文脈で子をもつ親の心を捉えようとする、怪しい教育類似商法が氾濫している。教育にわかりやすい成果を求める風潮を利用したビジネスだ。

ビジネスの原理が教育を汚染しているのではないかと私は考えている。ビジネスとは、お互いにとって価値あるものを、即時的に等価交換をするしくみである。しかし前述のように、本来、教育によってもたらされる価値は予言できない。つまり教育に、ビジネスの原理はあてはめられない。そこで無理矢理、教育にビジネスの原理をあてはめるとどうなるか。教育に予言できる成果を求めるようになるのである。


「いい学校」に入っても、
人生がうまくいかないと…?

たとえば中高6年一貫教育といっても、その教育の目的は生徒の人生を豊かにすることであり、6年の間に即時的に効果を発揮することではない。希望する進路を実現させたり、テストの点数を上げたりすることは、教育の必要条件ではあるが、十分条件ではない。「いい学校」に通って希望の大学には入れたけれど、なぜだか人生はうまくいかないというのでは本末転倒だ。

それなのに、6年間の教育にわかりやすい成果が求められるようになると、大学進学実績や偏差値ばかりが注目されるようになる。教育の価値が数値化されると、子供の価値も同じ数値で計られるようになる。「あの子は○○学校の子、あの子は△△学校の子。○○学校の子のほうが出来がいい」とか「あの子は偏差値60、この子は偏差値40。偏差値60の子のほうが出来がいい」とか。それがそのまま親の能力までを物語るようにもなる。「あの子の親は、息子を○○学校に入れたからすごい。この子の親は、娘を△△学校にしか入れられなかった」など。

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