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インタビュー

プロレス棚橋弘至選手に聞く 夫婦円満の秘訣とは!?

2016年6月、プロレス界からは初となる「ベスト・ファーザー賞」を受賞。全国各地を飛び回り、年間130試合以上をこなす多忙な日々の中で、棚橋弘至選手はいかにしてベスト・ファーザーとなったのか。その秘密に迫る。

円満な夫婦関係があってこそ
ベスト・ファーザーになれる

プロレスには縁がなくても、棚橋弘至は知っている。それこそが、“100年に1人の逸材”を自称し、自他ともに認める新日本プロレスのエース、棚橋選手が自らの手で築き上げた成果だ。キャリアを積み、チャンピオンとなり、低迷していたプロレス人気を復活させた十数年は、2児の父として奮闘した期間でもあった。

「今、娘が中1、息子が小5ですけど、5歳くらいまでは仕事が9割で、ほとんど家にいなかったです。当時は子供の写真を手帳に挟んで持ち歩き、家に帰ったらひたすら遊び、嫁さんが子供の健康を考えて控えているお菓子やジュースを買い与えては、『それは本当の優しさじゃない』って怒られたりしてましたね」。子供たちのしつけの全権は妻に任せ、決して横から口を挟まない。それが、自分に課したルールだった。

「嫁さんが言ったことを否定しない。嫁さんを悪者にしない。この2つは徹底しました。もし、ママの言うことをパパが否定したら判断基準があいまいになって、子供たちは混乱しますよね。だから、『ママはこういう気持ちで言ったんだと思うよ』って、嫁さんの顔を立てながら子供の気持ちにも寄り添うようにフォローして、Win-Winで決着がつくように、そこは気をつけましたね」。

そんな家庭人としての姿が評価され、「ベスト・ファーザー賞」を受賞した棚橋選手。その陰には、“ベスト・マザー”と絶賛する妻の支えがあったのは間違いない。

「24時間365日、休みなく育児をしているママたちは、本当に大変ですよ。もし、パパ1人で子守りをしたことがなければ、『今日は1日遊んできていいよ』って奥さんを送り出して、全部自分でやってみるといいです。子供と向き合うことが、体力的にも精神的にも、どれだけ負荷がかかることなのか身をもって体験すれば、自然と奥さんを思いやる気持ちが生まれてきますからね」。

妻の話を聞くこと。自分の話をすること。家族が増えてからも夫婦円満でいる秘訣がそこにある。

「子供が小さいうちは特に、育児が最優先で夫婦の会話の時間が削られがちじゃないですか。でも、いろんな人の話を聞くと、女性は自分の話を聞いてほしいし、夫がどんな仕事をして誰と飲みに行ったか、そういう話も聞きたいらしいんですよ。だから、仕事で疲れていても、自分は今日あった話をして、嫁さんのママ友話は聞き流さずに、ちゃんと聞く! たとえ興味がなくてもそこを面白がれると、けっこう濃いキャラが登場したりして意外に楽しめますから(笑)。がんばりましょう!」。



親が笑顔で過ごしていれば
子供の笑顔は自然と増える

子供が大きくなってからも夫婦、親子の間での会話が多い棚橋家は、いつだって笑いに満ちている。「僕の母がよく笑う人だったので、僕もよく笑うようになったし、幼稚園の送迎のときに、笑顔の多い子の親はよく笑うということに気づいたんです。そのときに、家の中の雰囲気はそのまま外に出ちゃうんだなと知って、うちは笑って過ごせる家庭にしようと決めました。今でも1日1つは親父ギャグを言って、息子に『寒い』って言われてますよ(笑)」。

子は親の背中を見て育つというが、もし、自分の背中から学ぶことがあるとすれば、それは、そのときどきで与えられたものに対し、精一杯に取り組むという姿勢だという。

「僕は日本各地を周って子供と触れ合う機会も多いけど、小さい頃から夢を持っている子って、実は少数派なんです。夢を持ちなさいというのは、子供にとってプレッシャーかもしれない。夢を持てと語ることより、いざ、夢が見つかったときに何にでもなれる自分でいられるかどうか。勉強でもスポーツでも音楽でも、どんな方向にでも進めるように、選択肢を無限に残してあげる。その環境を作ってあげることこそが、親の愛情だと思います」

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PROFILE

棚橋弘至 HIROSHI TANAHASHI
1976年11月13日、岐阜県生まれ。立命館大学在学中の98年2月に新日本プロレスの入門テストに合格。99年、大学卒業後に入門。同年10月10日にデビュー戦を果たす。著書に『全力で生きる技術』(飛鳥新社)などがある。2003年に結婚し、現在は中1の娘と小5の息子の父。オフィシャルブログ「棚橋弘至のHIGH-FLY」では、子供との時間を過ごす父親の顔も垣間見られる。


Photo » MASAHIRO IHARA
Text » YUKI IMATOMI

FQ JAPAN VOL.41(2016年冬号)より転載

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