【思春期の子育て】反抗期の子供に父親の取るべき行動とは?FJ代表・安藤哲也が語る
2023/04/14
インターネットを通じて良い情報も悪い情報も手に入りやすくなり、子供が2~3歳のころから、「思春期」が気になる親が増えている。そんな早くから気にする必要はないが、パパが子育てで気を付けるべきことはあるのだろうか。安藤哲也の父親行動論。
乳幼児期から育児に関わる
それが最善の反抗期対策
最近は色んな情報が手に入るからでしょうか、子供が2~3歳児の頃から「子供の『思春期』が気になる」というパパが増えています。子供が小さなうちから将来を考えておくのは良いことですが、ちょっと勘違いしているパパも多いかな。思春期に起きる問題のパパの対応は、実は子供が小さいうちから始まっているのです。
FJでも、『Stand by me思春期プロジェクト』では、10代の子供がいる悩めるパパ・ママのの相談を受けています。我が家の次男もいま中学3年生です。本来ならば反抗期真っ盛りで手を焼くはずの年頃ですが、まったく気になりません。もちろん多少の衝突は起こりますが、困り果てるような事態にはなりません(長男の時は少し苦労しましたが)。その理由は、乳幼児期から積極的に子育てをしていたから、だと思われます。
それを実感したのは、今年の1月に発表された国立成育医療研究センターの発表。その内容は、「乳児期の父親の育児への関わり多いことが、16歳時点でのメンタルヘルス不調の予防に繫がる可能性が示唆された」とあり、分かりやすく言えば、父親が乳児期から積極的に子育てに参加しておけば子供が成長しても良い関係を築ける、ということです。
私たちFJのパパは15年前から、保育園送迎や炊事・洗濯、オムツ替え、PTAなど当たり前。働き方を見直して子育てを楽しもう! 絵本の読み聞かせや外遊びをして、子供と一緒に笑いながら成長しよう、ママのやりたいことを応援しよう! と提唱して来ました。パパが育児・家事・地域活動に参加すると、ママも笑顔になる。こうして円満になった家庭環境は必ず子供に良い影響を与えます。乳幼児期にパパと子供が深い絆で結ばれる(愛着形成できる)から、思春期に入って多少のいざこざがあっても、どこかで心は繋がっているから軽症で済むのです。
16歳時点での子どものメンタルヘルスの不調のリスク
※調整要因:母親の年齢と学歴、母親の育児への関わり、父親の労働時間、子どもの性別、兄弟の数、世帯所得、3世代同居の有無
出展:国立成育医療研究センター研究所
乳児期における父親の積極的な育児への関わりが、子供が16歳時点でのメンタルヘルスの不調のリスクを減らす可能性が示唆された。
意思疎通に必要なのは
親自身の一生懸命な姿勢
反抗期や思春期の子供との意思疎通がうまくいく秘訣やテクニックを聞かれることも多くあります。しかし、それは傷口に絆創膏を貼るようなもの。場当たり的な対処でしかありません。やはり、乳児期から育児に参加して関係を築くことが重要ですが、これまで育児にあまり参加できなかったパパだって、「今からでも何とかしたい!」という方もいらっしゃることでしょう。
そんなパパへのアドバイスは「自分が小さい頃にされて嫌だったことを子供にするな」です。私は地方のラジオ番組でお悩み相談コーナーを担当しているのですが「子供がスマホばかりしていて勉強しなくて困っている」といった相談が頻繁に来ます。子供からスマホやゲームを取り上げても意味はありません。親に禁止されればされるほど、子供はもっとやりたくなるものです。パパ自身も思春期の頃に、同じような経験をしたこともあるのではないでしょうか。
パパやママがスマホ三昧では示しがつきません。本を読んだり、趣味を楽しんだり、資格取得に向けて勉強したりする姿など、パパが何かを真剣に取り組む姿を見ることで、子供はきっと何かを感じるはずです。躾の小手先テクニックを身に着けるよりも、父親は背中で語ることのほうがよっぽど思いは伝わるはずです。
思春期に入った子供は、既に人格を持ったオトナと見て対応しましょう。過干渉になり過ぎず、一歩引いて子供の自立を促しましょう。自分のやりたいことを見付て自発的に始める、動く、生きて行くことができる、そんな大人になることを「信じて、待つ」……それこそが思春期の子育てで大切なことではないでしょうか?
【まとめ】
●乳児期から育児に参加することは子供の成長に好影響を与える
●思春期の子供に想いを伝える第一歩は親が態度で示すこと
●成長・自立を信じて、待つこと
PROFILE
安藤哲也
1962年生まれ。2男1女の父親。2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ代表を務める。NPO法人タイガーマスク基金代表。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員などその活動は多岐に渡る。新著は『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』(扶桑社)。
文:川島礼二郎
FQ JAPAN VOL.66(2023年春号)より転載