いま話題のサステナブルな暮らしって?子育て中でも取り組めるSDGsアクション
2022/01/05
地球や環境を子供たちの世代や未来へつなげるために。 製品をつくる企業の責任と、それをつかう私たちの責任。「無理なく」毎日の暮らしからちょっとずつできる、暮らしの実例とアクションプランをご紹介。
SDGs先進国に学ぶ
サステナブルな暮らし
まずは「サステナブ ルな暮らし」を見て行こう。ここでは、SDGsランキング上位3か国の事例を紹介する。子育てにも優しい国々からは多くの学びが見つかるはずだ。
デンマーク
多様性を認めることからはじまる
ジェンダーギャップの縮小
2017年、世界で初めてトランスジェンダーであることを疾患扱いすることを廃止したデンマークからは学びも多い。
例えば、日本全体ではまだまだ理解度が浸透しないLGBTQへも理解が進んでおり、同性婚の合法化など多様性を認めた社会が構築されつつあるのだ。これは、男性も育休を取得しやすい労働環境と共に、男性の育児参加率の高さに繋がっている。子育てへの積極的な参加がサステナブルな社会作りのカギになってくるのかもしれない。
スウェーデン
家庭ごみのリサイクル率99%
国全体に根ざすサステナブルな精神
義務教育から「環境循環」に基づく原則原理のルールを学び、共通理解として浸透しているスウェーデン。「環境循環」とは、自然界ではあたりまえに存在している生物すべてが繋がりあって生まれている循環のことだ。
99%という脅威のリサイクル率は、こういった教育を根底とした国民の意識の高さによって実現し、1人1人の行動の積み重ねがもたらした集大成とも言えるだろう。
フィンランド
雄大な自然環境とキレイな水が
well beingな暮らしを実現する
フィンランドといえば教育費の全額無料など「福祉サービスの充実」が有名だが自然へ対する真摯な姿勢にも注目したい。国土の約70%が森林に囲まれた豊かな自然のなかで暮らすフィンランド人は自然を大切に、環境を守りながら共生している。なかでも食材を大切にしており食品ロスへの取り組みも盛んだ。
また、世界でも有数の水質の高さから、マイボトルに入れて持ち歩く習慣ができている。豊かな自然に囲まれた日本は類似する点も多く取り入れられる点も多いのではないか。
CHECK!
SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際社会共通の目標。2021年に策定されたミレニアム開発目標(MFGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された。地球上の誰ひとりとして取り残さない(leave no onebehind)ことを誓い、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されている。
サステなパパになるための
ACTION PLAN
子供たちの暮らす未来が豊かであることは親としての願い。そのためにできることはないだろうか。そんなパパのために、FQ編集部が「子育て中でも取り組めるアクションプラン」をご用意。できることから取り入れて、サステなパパを目指そう。
1.家事・育児に積極的に参加する
夫婦間の家事・育児のバランスを公平にすることはパパの最も大切なアクション。夫婦間でしっかりとコミュニケーションをとって納得できるバランスを目指そう。例えば、料理が苦手なパパは洗い物や買い物を担当したり、食洗器やロボット掃除機など「人手」を増やして家事負担を減らすのも賢い選択だろう。
また、しつけや教育にも夫婦で一緒に考え取り組むことが必要だ。手をあげずにしっかりと言葉にして伝える、性別にとらわれずに子供の興味を持ったおもちゃで遊ばせるなど、論理的で多様性を意識した教育はこれからの時代を生き抜く力を養ってくれるだろう。
2.サステナブルな買い物の視点を持つ
買い物を見直すこともすぐに取り組める行動だ。例えば洋服。流行り物を買うよりも長く着れるものを選べば捨てる頻度が減る。また、着ない服は寄付やリサイクルするのもいい。必要としている人や国に届けるのも立派な貢献といえるだろう。
食材なら地元で作られたものを買うのがいい。食材輸入が止まった時、国内自給ができなければ生命の危機にさらされる。地元の生産者を応援することはリスクヘッジにも繋がるのだ。安全性の面からも生産者がわかるので毎日の食事にも安心をもたらしてくれるはずだ。
3.環境に配慮した暮らし方をはじめる
地球温暖化が叫ばれてからしばらく経つが、近年多発する異常気象や猛暑など私たちの生活にもその影響は色濃く出始めている。気候変動を止めるためには地球へ優しいアクションが大事。実践しているパパも多いだろうがマイバックや木製ストローを持ち歩くこともその1つ。プラスチック素材は石油を原料として生成され、燃焼処理でも温暖化の一因となるCO2を排出する。また、海上へ放棄されたプラスチックゴミは生物が誤飲する恐れがあり、水産資源の減少にも繋がるのだ。
有限である資源を失わないためにも、皿洗い時には環境に優しい洗剤を使用したり、水を出しすぎないなど身の回りのちょっとしたことから環境意識を高めて行こう。
4.家族の生活に安心と安全を
かけがえのない家族を守るためにも安全への備えは万全にしておきたい。災害時にすぐに持ち出せるように必要最小限の水や食料、充電器などは防災バックにまとめておく。季節により必要なものも変わるため定期的な点検と住んでいる街の防災マップの確認も大事だ。最適な避難経路を把握すればもしものときも心に余裕が生まれる。
また、持ち家ならば太陽光発電の導入を検討してもいいかもしれない。ライフラインが止まったときも太陽光発電による電力を蓄電池に蓄えていれば電源を確保することができ、安全な在宅避難が可能になる。さらに、CO2を排出する化石燃料によって発電された電力の使用量を抑えることができるため環境にも優しい。
5.ワークライフバランスを見直す
パパには働き方だけではなく生活習慣にも注意が必要だ。わが子と思いっきり遊ぶためにも食事や適度な運動など健康的な生活を心がけよう。時には自分の時間を作ったり、休息も務めと知ろう。また、ママの健康にも配慮を。
出産前後であれば体調を崩してしまいがちなため、フェムテック製品の活用など負担を減らす工夫も必要だ。どうしてもバランスが取れない場合は、「育休」の取得を考えてみてはいかがだろうか。法制度も改定され取得のハードルは下がってきている。その経験はきっと職場の労働環境や働きやすさの改善にも生かすことができるに違いない。
extra plan
ここまで読んでSDGsに興味が湧いてきたパパは専門書でしっかりと学んでみては。SDGs的な視点を持つことは仕事や子育てにも役立つヒントが隠れているはずだ。ぜひ自分なりのアクションを見つけてみてほしい。
「小学生からのSDGs」
SDGsをはじめて学ぶ、子供目線のSDGs入門書。専門知識ゼロでもわかりやすく、子供が疑問に思う言葉をやさしい言葉で記し、「無料動画アニメーション」「図解」「動物イラストの世界観」など、小学校低学年からでもSDGsを直感的に無理なく学べるように、ビジュアルにもこだわった一冊。
教えてくれたのは
深井宣光さん
一般社団法人SDGs支援機構事務局長。SDGs専門メディア「SDGsジャーナル」を運営。専門知識ゼロでもわかるやさしい言葉で伝え続け、理解だけでなく行動を喚起する解説者として注目を集めている。行政や教育機関へのSDGs学習動画の無償提供、企業研修、講演、テレビ出演などSDGs推進・普及活動を行う。現在2児の父。
文:FQJAPAN編集部
絵:岡本倫幸
FQ JAPAN VOL.61(2021年冬号)より転載