日本人がセックスレスになりやすい理由は? 1年で約140回のギリシャ夫婦との違い
2024/06/01
なぜ日本人はセックスレスになりがちなのか? その深層には、現代人の働き方や伝統的な価値観など、諸問題が複雑に絡み合っているのかもしれない。アドラー心理学のプロである熊野英一氏が、セックスレスという事象を通して感じる違和感とは?(後編)
前回のセックスレスのお悩みでは、夫婦の対話の大切さが改めて浮き彫りになった。多くの夫婦が慢性的なコミュニケーション不足に陥っているが、その原因は夫婦間だけにあるのではない、と熊野氏は語る。期せずして、現代の日本の働き方や子育て事情への問題提起となった。
世界から見ても驚くほど
少ない日本人のセックス頻度
熊野氏:アドラー心理学とは少し離れますが、ちょっと見てもらいたいものがあって。「世界のセックス頻度と性生活満足度」のデータです。2005年度の調査なので、やや古いんですが。
●世界各国のセックス頻度と性生活満足度
出典:Durex社 “2005 global sex survey report”
編集部:あ、日本、すごく少ないですね!
熊野氏:日本だけダントツでしょ。頻度だけじゃなく、満足度も25%と低いし。このグラフみると、東欧グループが頻度も満足度も高い。アジアも南の方はまあまあ満足度が高い。で、なぜか東アジアは全体的に低いよね。
編集部:ホントだ。あ、中国は頻度がそこそこあるのに、満足度が低いという……。これもある意味大変ですね(笑)。それにしてもギリシャすごいですね!
熊野氏:ギリシャすごいでしょ。性のコミュニケーションというか、セックスを通して夫婦の関係をよくすることを大事にしているんだろうね。だってセックスってすごくわかりやすいコミュニケーションじゃないですか。それを大切にして、お互いに愛を感じあっていい状態でいるということは、とても理想的な夫婦の関係かな、と僕は思う。もちろんこの価値観を押し付けるつもりはないですけど、このグラフを見ると、どうしてもこの状況でいいとは思えないんです。
編集部:日本人は国民性として、性の問題に関して抵抗感が強い気がします。自分たちの親も、性に関する話は避けてましたよね。
熊野氏:うん、でも一方では、浮世絵の春画や、吉原といった性を楽しむような文化があって、それが芸術的なものになったりもする。現代でも、日本のセックス産業は独自の進化を遂げていて、ジャンルの細かさやマニアックさは、他の国では見られないことだよね。
パートナーとはセックスしないが、ほかのところで性欲を処理しているということ。この間も男友達何人かと話してたのが、性風俗とか性メディアが発達し過ぎているがゆえに、妻に「セックスしよう」って提案をしなくなっちゃうんじゃないかって。断られて、傷つくくらいなら、あえてリスクを侵さず、もうビデオでいいやって諦めてしまうんだと思います(苦笑)。