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学校で子供が孤立しないための「周りに染まらない」生き方とは?

子供が学校という"一つの社会"に出た時に、最も必要なのは「なりすますチカラ」? 性善説・性悪説から、子供教育について考える。首都大学東京教授・宮台真司のコラム。

人間は環境次第で
性善にも性悪にもなる

日本でも移民政策が話題です。改正入管法の「労働力として長期滞在させても、移民つまり国民としては扱わず、福祉を与えない」という御都合主義が焦点です。日本だけでなく世界規模で、国内居住者の分断と排除が起こっています。それはなぜか?



民主政が回るには、人々が浅ましくない状態、気持ちに余裕があって他者の事を考えられる状態に置くことが、必要です。それには人間関係資本(ソーシャルキャピタル)の豊かさと、それを支える中流の分厚さが必要です。

でも、グローバル化で資本流出が起こり、中流が分解して貧困化した結果、人々は浅ましくなって不安と鬱屈にさいなまれ、被害妄想を誇大妄想で埋めがちです。だから排外主義化しつつあるのです。ナチスが生まれた背景も同じです。

人は、適切な環境で育てば、憐れみに満ちた性善説的存在になります。適切な環境で育たなければ、自己中心的な性悪説的存在になります。遺伝的基盤があっても環境次第で育ち方が変わるのです。

適切な成育環境を用意できない劣化した社会では、性悪説を前提にシステムを設計する他ありません。典型が中国。購買履歴に加えて犯罪記録や近隣トラブル歴、ネット履歴、ケア履歴をも集計した信用スコアが、顔認証と並行して進んでいます。

信用スコアの低下による不便を避けようと、人は外面的には善人のように振る舞います。刑罰で脅して取り締まるより、警察官や刑務所もいらないので統治コストが下がります。行政主体か企業主体かという違いはあれ、米国が追いかけています。

日本でも、飲食店での無断の予約キャンセルや渋谷でのハロウィーン騒動が話題ですが、信用スコアと顔認証を普及させれば一発解決。人が劣化して損得一辺倒になるほど、性悪説的システムが有効です。

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