妻「私ばかり悩んで苦労している…」全国のパパが気づかない夫婦の悩みとは?
2019/01/24
<解決策その②>
夫婦の悩みを議題化して
ロジカルに話し合う
編集部:でも、急に変わるのは大変そうですね……。
熊野氏:うん、確かに。いきなりは難しいから、まずは相手に「共感」することから始めるといいですよ。アドラー心理学において「共感」は、すごく大切なキーワードで。自分をわかって欲しいと思っている人が、先に相手の気持ちになるように努めてみる。これを我々は「共感ファースト」って呼んでるんだけど、ここでは奥さんが夫の立場になって、どんな気持ちなのかを考えてみる。
イメージとしては、夫の体に憑依するような感覚です。どうして夫が話し合うことから逃げているのかを、想像してください。「もしかして、責められるのを恐れているのかな」とか、「話が長くて面倒くさいと思っているのかな」とかね。
相手に共感することを意識すれば、仮にその予想が外れていても、「私の話を聞いて聞いて、何で聞いてくれないの?」って自分本位の気持ちにはなりにくい。相手に共感することによって、客観的に自分と相手の関係を見つめることができるでしょ。そうすると、相手を非難する気持ちは起きなくなる。
編集部:なるほど。「共感」することで、事態が好転していくということですね。
熊野氏:うん、そうすれば建設的な話し合いのために、メールやLINE、手紙などで気持ちを伝えるなんていうアイデアも出てくる。僕のおすすめは「夫婦会議」ですね。アジェンダを作って、議題を決めて話すんです。男性は思考がロジカルだから、ビジネスライクにした方が安心感を得られるのかな、感情的な夫婦ゲンカに発展せずに、お互い冷静に意見を出せて、うまくいく場合が多い。
編集部:会議! 確かに男性は好きそうですね(笑)
熊野氏:だいたい男同士で話をすると、嫁からのダメだしの話題で盛り上がるんだけど(笑)。仕事ばっかりして、家のことをできてない自分への負い目や、嫁への申し訳なさから、文句言われてもしょうがないっていう前提がある。だけどできれば聞きたくない。話も長いし(笑)。それでまた逃げちゃう。でも逃げれば逃げるほど、悪循環に陥っちゃう。会議だったら定例化もできるので、ぜひ試して欲しいですね!
○自分の不満を押し付ける前に、相手の考えに寄り添う=共感する
○対夫の場合は、ロジカルに話を進める。
プロフィール
熊野英一(くまの・えいいち)
アドラー心理学にもとづく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。株式会社子育て支援代表取締役。1972年、フランス パリ生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学し、MBA取得。製薬大手企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事する。2007年、株式会社子育て支援を創業。日本アドラー心理学会正会員。著書多数。最新刊は『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(小学館)