すぐに病院へ行くべき? 乳幼児期の発熱や嘔吐の対応
2018/06/28
突然、嘔吐してしまった!
発熱や下痢を伴う場合は病院へ
前島
――それから、嘔吐もよくある症状ではありますよね。生まれて数ヶ月のうちは、げっぷが上手く出来なくてもどしたりとか、意外と頻繁に嘔吐するじゃないですか。気をつけた方がいい場合との区別というか、判断基準みたいなものはあるのでしょうか?
中野院長
「赤ちゃんの場合は、胃の形状がまだ完全な形ではなく、ストンとまっすぐなので授乳後のちょっとした刺激や圧迫で、吐くことがあるんですね。
ただ、心配なのは噴水のように吐いてしまうだとか、授乳のたびに吐いてしまって、なかなか体重が増えない場合や下痢や発熱を伴っている場合。そして、頭を打った後の嘔吐などの場合は、医師の診察が必要と考えた方がいいでしょう」
前島
――なるほど。そういえば、うちの子も2人とも、「マーライオンかっ!」と突っ込みを入れたくなるほど見事に、ミルクを吐いたことがありました。一人はミルクの飲みすぎが原因だったのですが、もう一人は結局ロタウイルス腸炎でした。
中野院長
「ロタウイルスもそうなのですが、診療が必要な場合も大抵のケースは通常の診療時間内に病院に行けば大丈夫でしょう。高熱が出てぐったりしていたり、意識障害があるとか、頭を打った後の嘔吐や血便が出ているなど、明らかに普通じゃない症状がある場合は、時間外診療や救急車を手配するなどした方がいいと思います」
生後1~2ヵ月頃の赤ちゃんは、食道と胃の接合部が未発達のため、母乳やミルクをを吐いてしまうことがよくある。ゲップが上手くできなくて吐く場合や、口からダラッとこぼれるように吐く場合は心配しないで大丈夫。しかし、繰り返し吐いたり、発熱や下痢など他の症状が伴う場合は受診が必要だ。受診をするときは、吐いた回数や様子、吐物の状態を伝えること。吐いてすぐに水分を飲ませると、また吐き気をもようすことがあるので、何も飲ませずに少し様子をみよう。落ち着いてきたら、湯冷ましやイオン飲料などを少しずつ与えて水分補給を。また、吐き気が治まらない時は、タテ抱っこをし、静かに背中をさすってあげると楽だ。寝かせる時は、吐物で窒息しないよう、体ごと横向きに寝かせること。
監修
中野 康伸(なかの やすのぶ)
中野こどもクリニック院長。1979年自治医科大学卒業。川崎市立川崎病院小児科、神奈川県立こども医療センター内科医長、南フロリダ大学医学部免疫学教室、自治医科大学講師を経て、1994年より中野こどもクリニック院長(横浜市港北区)。日本小児科学会(専門医)、日本小児アレルギー学会、日本アレルギー学会(認定医)に所属。『小児科のお医者さんからママたちへ』(主婦と生活社刊、分担執筆)、『子ども医学館』(小学館刊、分担執筆)など著書も多数。
TEXT/DAISUKE MAEJIMA
FQ JAPAN vol.07より転載