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日本人は絶滅危惧種!?少子化の最先端を走る国の未来

人口の多い東南アジア・南アジアにも
忍び寄る少子化

インドを中心とする南アジアには、中国や日本を含む東アジアと同数の16億人が住んでいる(パキスタンは西アジアとして計算)。東南アジアにも6億人が住むが、これはロシアを除いた欧州と同規模だ。大なり小なり経済発展の道を歩むこれら地域にも、少子化の波は及んでいる。以下、これまでと同じ2つの数字で見てみよう。

このエリアの経済最先進地域はシンガポールだが、子供は1%減り、人口再生力は日本と同じ68だ。深刻なのは、この国連の推計には外国人居住者も含まれているということである。世界有数に国際化した社会であるシンガポールでは、この5年間にも50万人程度、外国出身者(移民+居住外国人)が増えた。しかるに子供の絶対数が減っているという事実は、「人口再生力の弱い社会では、新たに来た外国人も子供を産まなくなる」というセオリーを示す。幾ら若者を受け入れても子供は増えないというのは、首都圏にもあてはまることだ。

シンガポールには大きく後れを取ったが、中進国筆頭たる経済発展を遂げてきたのが、ムスリムの多いマレーシアと、仏教徒の多いタイである。前者の数字は3%減・92、後者は6%減・77と、やはり明確に少子化が進んでいる。離されながらもその後を追うベトナムは、3%増・95。少子化はさほどではないようにも見えるが、子供は1995〜2010年に22%減って後に少しだけ増加に転じたのであって、今後は中国同様、親の数が減っていくためにまた減少を始めるだろう。

他方、2億6千万人近くが住む人口大国インドネシアや1億人のフィリピンでは、経済発展はまだ遅めで、それぞれ2%増・121、3%増・142と、子供はまだ増え続けている。インドネシアはマレーシアのようになるのか、フィリピンはベトナムの後を追うのか注目だ。

南アジアに目を転じよう。インドやバングラデシュといえば、とにかく人が溢れているという印象がある。

確かに2015年時点の人口再生力はそれぞれ116、111と100を上回っている。だが時代は変わった。子供の数はそれぞれ、1%減、3%減となっているからだ。ちょっと前まではもっと高かった人口再生力が急速に低下し始めているのである。この両国で子供が減り始めたというのは、それこそ歴史的な転換だ。


 

少子化傾向の続く旧共産圏
ゆっくりと減る西欧と米州

欧州は、ロシアなどの旧共産圏とそれ以外に分けてみた方がよい。

旧共産圏では、1990年のソ連崩壊後2010年までに、子供が38%も減るという劇的な少子化が進行した。2015年までの最近5年間には子供は5%の増加に転じたが、人口再生力は77に留まる。今後は親世代が減るので、さらなる少子化の進展を避けられない。

独英仏伊を中心とした旧共産圏以外では、人口再生力は84と、旧共産圏よりはましだ。そこに旧共産圏や西アジア、アフリカからの移民の流入があるので、子供の数は過去四半世紀で微減という状態である。個別に見れば、ドイツやイタリアがそれぞれ4%減・70、2%減・77と少子化が進む状態にあるのに対し、英仏はそれぞれ4%増・95、2%増・102と安定している。しかしいずれにせよ、どんどん子供が増えていくという趨勢にはなく、他方で高齢者は年々増える状態にある。

移民受け入れの旺盛な北米はどうか。ショッキングなのは米国で、まだ0%減だが子供の減少が始まっていることだ。医療保険や教育にお金のかかり過ぎる社会構造が、移民にも子供を持つことを躊躇させている現実がある。人口再生力も91と、100を切っている。反対に福祉の充実したカナダは子供は2%増だが、豊かさが少子化を招くのだろう、人口再生力は79だ。

中南米というと、住民の多くがカトリックで子だくさんというイメージがあるが、実は子供は2%減、人口再生力は105と落ち着いている。その中の人口大国と言えば中米のメキシコ、南米のブラジルだが、メキシコは1%減・118と少子化の入り口にあり、ブラジルは5%減・87と明確に少子化の坂を下っている。

※人口のデータは務省統計局「平成27年国勢調査結果」、出生数、出生率のデータは厚生労働省「2015年人口動態統計」、各国人口データは、国連人口部統計「世界人口推計2015年改訂版」に基づき掲載

 



PROFILE 

藻谷 浩介 MOTANI KOUSUKE

株式会社日本総合研究所主席研究員。「平成の合併」前の3232市町村全て、海外83ヶ国を私費で訪問した経験を持つ。地域エコノミストとして地域の特性を多面的に把握し、地域振興について全国で講演や面談を実施。自治体や企業にアドバイス、コンサルティングを行っている。主な著書に、『観光立国の正体』(新潮新書)、『日本の大問題』(中央公論社)『里山資本主義』(KADOKAWA)など著書多数。お子さんが小さな頃は、「死ぬほど遊んでやった」という良き父でもある。

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FQ JAPAN VOL.45より転載

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