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日本人は絶滅危惧種!?少子化の最先端を走る国の未来

日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんにお話を聞く人気連載「里山資本主義的子育てのすすめ」。今回は世界各地の人口増減の現状について見ていこう。

>>前記事:少子化問題を「居酒屋経営」に例えて考えてみた!

他の国も続々と
日本を追いかけ始めている

子供が減っているのは日本だけなのだろうか?「世界の人口は爆発的に増えている」というようなニュースを聞くと、日本だけが世界から置き去りに去れているような気になるかもしれないが、それは誤解だ。日本は世界に置き去りにされているのではなく、逆に世界を置き去りにして少々先に進んでいたのだが、他の世界も、続々と日本を追いかけ始めているのである。

国連には人口部という部局があり、2〜3年に一度、世界すべての国における、5歳刻みの年齢階層別人口の、過去50年間の5年おきの推計値と、今後100年間の5年おきの将来予測を発表している。国連のサイトにアクセスすると、すべてのデータが入った4メガ弱のサイズのエクセルファイルを無料でダウンロードでき、とても便利だ。海外に進出しているすべての企業には、進出先の数字を確認しておくことをお勧めしたい。

この数字が正確かどうかと言えば、その国の元々の統計がしっかりしていれば、国連のものもかなり正確な推計・予測になっている。他方で統計がいい加減な国に関しては、国連の数字も精度は下がる。また将来予測は現在のトレンドを出発点に作成するので、先の予測になるほど正確性は落ちる。

ちなみに日本について国勢調査や国内の人口予測と比較すると、大要は同じだが高齢者の増加、子供の減少の趨勢はやや甘めに算定されている。甘めだということは、他の国についても「実態は更に深刻だと考えておかしくない」ということだろう。



 

少子化は先進地域に共通
特に東アジアは深刻

さてここからは、その中の2010年と2015年の人口推計を比較する。ちなみに日本では、この5年間に0〜14歳の子供は5%減少した(国勢調査)。このまま続けば100年で子供がいなくなってしまうペースであり、もしこのトレンドが続くのであれば日本人は〝絶滅危惧種〞ということになる。

しかし東アジアには、日本以上に凄まじい勢いで子供の減っている国・地域がある。韓国と台湾だ。2015年版の上記国連推計によれば、2010年から年の5年間に0〜14歳の子供はそれぞれ12%減、14%減である。なお台湾は、中国に配慮してなのだろう、「その他の非特定地域」という名称で掲載されている。

この連載の初回で、25〜39歳の数を3で割って0〜4歳の数と比較し、これが100:100なら、出産適齢期の若者が同数の子供を産んでいるとみる、という分析法を紹介した。以下、下側の数字を「人口再生力」と呼ぼう。2015年の日本は100:68と人口再生力が弱いが、韓国は63となお深刻になり、台湾では53と壊滅的な数字になっている。

中国はどうか。以下、前述と同じ数字を使うが、子供は2%増えている。しかし1995年から2010年にかけて32%も減少した後の微増であり、人口再生力も77と低めだ。2016年に1人っ子政策を撤廃した結果として、後者は改善することもありえる。しかし1995年から2010年の出生急減期に生まれた世代がこれから親になるので、仮に今後人口再生力が100になっても、子供の絶対数は再び減る。

習近平国家主席は、「2049年までに、総合的な国力と影響力で(国際社会を)主導する国家」となると宣言した。しかし同じ国連の予測(中位ケース)によれば、現在10億人を超える中国の現役世代(15〜64歳)は2050年には8億人を切り、子供(0〜14歳)も3分の2に減って、他方で現在1億3千万人いる高齢者(65歳以上)は3億7千万人へと3倍近くに増える。中国の1人当たりの経済水準はまだまだ伸びるだろうが、史上空前に増える高齢者をどう支えるのかが巨大な課題となり、そうそう景気のいい未来は見通せない。


 

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