8ヶ月から1歳のシナプス密度は成人の約1.5倍!
2016/05/16
FQ JAPAN編集部が子供の不思議に迫ります。記念すべき第1回のテーマは赤ちゃんの脳!
子供不思議Lab #01
8ヶ月から1歳のシナプス密度は成人の約1.5倍だった!
FQ JAPAN編集部が子供の不思議に迫ります。記念すべき第1回のテーマは赤ちゃんの脳!
シナプス密度は1歳から“減少”する
アメリカで子供の脳の研究をしていたハッテンロッカー教授は、知的発達やてんかんといった脳の症状の原因が、神経細胞の情報伝達をおこなうシナプスにあると考えた。神経以外の病気で亡くなった人の脳を研究した結果明らかになったのは、シナプスの密度は生後8ヶ月頃から1歳前後でピークに達し、すぐに減少に転じるという事実である!
0歳児からの教育が必要?
シナプス密度のピークまでに何かしなきゃ! と考えるのが親心。しかしながら、小児科医で、お茶の水女子大学副学長でもある榊原洋一教授は「シナプス数が多いほど優れた脳と考えるのは間違い。たくさんあるシナプスが刈り込まれて、重要なものが選択されていくことで、情報伝達の効率が上がるのです。シナプスは使えば使うほど働きがよくなります。繰り返し学習が有効とされるはこのためです」と教えてくれた。
早期教育より大事なこと
乳幼児期は脳の発達にとって重要な時期なのは間違いないが、どんな刺激がシナプスにどう作用するのかは解明されていない。では僕たちはその時期の子供にどう接すればいいのだろうか。「子供は外からの刺激を受けて自ら学んでいきます。そこで親ができるのは、子供の興味関心や意欲を尊重してあげること。大好きな外遊びに付き合ったり、お気に入りのおもちゃで思う存分遊ばせてあげたり、常識的なことですね」と榊原教授はアドバイスしてくれた。
つまりは愛情が大切!
シナプス密度のピークは、何かの締め切りを意味するものではなく、脳の発達におけるスタート地点。それが過ぎたからといって焦る必要もない。子供が心の底からやりたいと思っていることに気づき、それができる環境を整えてあげよう。そして、子供に語りかけたり、一緒に遊んだり、一緒に笑ったりしよう。つまり愛情を注いでいれば、それで十分なのだ。
▼ 参考書籍
「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期 ―早期教育で知能は大きく伸びるのか?」(講談社+α新書)
榊原洋一
1951年生まれ。東京大学医学部卒業。お茶の水女子大学副学長。小児科医。子供の心と体の成長に関する知識と見識は国内随一。歩く赤ちゃん百科事典と呼ばれることもある。
Text » TAKESHI TOYAMA