連載第10回 父の日は「パパになったことを喜ぶ日」
2015/06/09
話は変わるが、アメリカのオバマ大統領は子供時代、ケニア人である父親とほとんど一緒に過ごせなかったそうだ。一昨年の父の日の演説で、彼はこう言っていた。
「今でも、ただそばにいるだけでなく自身の人生に関わってくれる父親にいてほしかったと思う。母が最善を尽くして私に教えてくれた勤勉さや誠実さ、責任感、遅れてもたらされる喜びなどの価値について、父親はもう1つの模範となって示してくれただろう。これらすべては子供が明るい未来を描くための土台となるものだ」。
その一方でオバマ大統領は、どのような環境にいたとしても、良い親でい続けることは簡単なことではないと打ち明けていた。「どうすればより良き夫、良い父親になれるのか、私は今でも模索している」。オバマパパも悩んでいたということだ。まあ、悩んで当たり前なことなのだが。
オバマ大統領は、父親がより多くの時間を子どもたちと触れ合えるようにと、児童支援関連法を改正している。また、「働く男性たちが子供たちと過ごせるよう、子どもを支援する法律を改正するべきだ」と訴えており、「男性たちが親として、父親としての役割をより強く果たせるよう、信念を持って取り組んでいく」と、自身の政権で各地域組織や企業などと協力していくことを言明したそうです。素晴らしいリーダー、ワシントンのイクボスだ。
「父の日は、子供が父に感謝を表す日」ではあるが、それでは少し受け身な気がする。そこで、FQ JAPAN的には「父親になったことを喜ぶ日」にしたいと考えている。家族の存在や、ありがたみを確認し「パパになってよかった。また明日から子育てや仕事をがんばろう! 」と思える日。僕は、そんな気持ちが共有できる日にできればと思っているのだが、皆さんはいかがだろうか? どうぞ、父の日を楽しんでほしい!
<FJ代表・安藤哲也の男の育児“ファザーリング”最前線>
第1回 「パタニティー・ブルー」をどう乗り越えるか!?
第2回 新しい時代の、新しい父親像とは?
第3回 社会を変える父親を目指そう
第4回 発進! イクボス企業同盟
第5回 パパ本、いまが隆盛期!
第6回 父親にとって、「残業代ゼロ法」はどういう意味を持つか?
第7回 未来のパパ・ママからの提案
第8回 子育て支援、ここがポイント! 統一地方選
第9回 児童福祉週間に考える「親と暮らせない子供たち」のこと
▼過去の連載
https://fqmagazine.jp/tag/ikuboss/
安藤 哲也(TETSUYA ANDO)
1962年生まれ。2男1女の父親。出版企業やIT系企業を経て、2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ、5年間代表を務める。一時期は副代表であったが、2014年に再度代表に就任。NPO法人タイガーマスク基金代表。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長、ラジオパーソナリティなどその活動は多岐に渡る。最新著書に『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂新書)がある。
(2015.6.9up)