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インタビュー

【ジョニー・デップ】”元祖イクメン”世界一カッコいいDAD

暗黒期から抜け出せた愛娘の誕生への思い

自由奔放に暮らしていた、” ワイルド&クレイジー“な日々。
ケイト・モスにはじまり、ウィノナ・ライダー、シェリリン・フェン、ジェニファー・グレイといった有名人の彼女と付き合っていた日々が遠い昔となった今、ジョニーは”暴走していた“若い頃についてこう語る。
「あの頃は悪魔にとりつかれていたんだ」。だが、ジョニーはその若い頃について、どこかユーモラスに語ってきた。

「マスコミは僕に反抗的な人間っていうレッテルを貼っていて、そういう記事を読むといつも笑っちゃったよ。あの頃にやっていたことなんて、僕にとっては別に反抗的でもなんでもなかった。僕は”パーティ狂い“なんかじゃなかったんだ。僕のやらかしたことは、パーティとは何の関係もない。僕は感覚がなくなるまで飲んで、自分をなぐさめようとしていたんだ。あの頃は、すごくみじめな気持ちでいたからね。30代前半は暗黒の時代だったけど、もう悪魔と闘う必要はなくなったんだ。今の僕は、単なる高いワインが大好きな飲んだくれさ」。とおどける。

「でもまじめな話、心穏やかに暮らせるのは、子供を持ったおかげだと思う。子供たちはものの見方を教えてくれるし、強さも与えてくれる。以前はむかついていたことも、どうでもよくなる。本当に大切なのは家族であり、愛する者であり、彼らの幸福や未来だということを、今とても感じているんだ」。

最近のジョニーは、厳しい現実や人生を通じてしか学べない賢さを身につけたようだ。

南仏の自宅で上等のワインを飲んで過ごす方が、ケンタッキー州の田舎にある故郷で6缶パックのビールを飲み干すよりも心地いいと感じている(ちなみに南仏の自宅近くには、友人で南仏に移住した俳優、ジョン・マルコヴィッチが住んでいる)。
ジョニーは本当の自分を見つけたようだ。アメリカの田舎育ちの少年は、まるでヨーロッパで生まれ育ったかのように、彼の地のライフスタイルを身につけ、家族を通じて心の平穏を見つけたのだ。二人目の子供が生まれた瞬間を思い出しながら、ジョニーはにっこりほほ笑む。
「子供の誕生は、いつだって新たな奇跡なんだ。毎回はらはらして興奮するよ。奇跡を目の当たりにするのがどんなことか説明できない。表現する言葉が見つからないよ」。

また、ジョニーは家族のためにカリブ海に浮かぶ40エーカーの島、リトル・ホールズ・ポンド・ケイを360万ドルで購入した。その小さな楽園は水上飛行機かボート、もしくはヘリでしか行くことができない。6ヶ所のビーチ、ヤシの木に囲まれたラグーン、プライベートハーバー、そしてコテージが数軒あるという。
「子供たちは島を気に入ってくれたよ。ヴァネッサと僕は二人をビーチに連れて行ったり、ヨットに乗せたり、いろんな楽しいことをやっているんだ」。
ジョニーは気さくに語る。良き父親という役割は、明らかにジョニーに向いているようだ。
「できれば子供は何百人だって欲しいよ――そうはいっても、父親の役割なんて簡単だからね。ヴァネッサが子供の数についてなんていうかは、わからないな」と笑う。

「娘のリリーときたら、まさにちっちゃくてかわいいお姫様なんだ。穏やかな子だよ。しぐさがしなやかで優雅で、部屋を滑るように歩くんだ。とても女の子らしい女の子だ。ところが息子ときたら、まったくの原始人で、まるで野人の子供だよ。よちよち歩いてきて、走って壁にぶつかって、転んで、もがいて立ち上がって、また同じことを繰り返す。二人の違いといったら、もううそみたいだよ。二人とも夢みたいに素晴らしい子たちなんだ」。

ジョニーと子供の心の中に刻まれる妻の言葉

ジョニーは子供に母親であるヴァネッサの資質を受け継いでほしいと願っている。「ヴァネッサはあらゆる面で素晴らしい女性だから、子供たちには母親のすべてを受け継いでほしい」。そして母から影響を受けたみたいに、と身を乗り出しながら話す。

「今までいちばん役に立ったアドバイスのひとつは、母がくれたものなんだ。母は『誰に何を言われようが負けるんじゃないよ、絶対に』って教えてくれた。この言葉は僕の中にしっかり刻まれてる。子供たちにも、この先誰に何を言われても、絶対に負けないでほしいと願ってるよ」。

ジョニーは子供たちの幸せを願って指をクロスしながら語る。「今のところ、二人ともすごく聞き分けがいいんだ。モンスターみたいなところはぜんぜんないよ。僕らはしつけみたいなことは控えているんだ」。
じゃあ、将来リリーが女優になると決めたら?ジョニーは目玉をぐるりと回して、笑いとばす。
「ただちに精神科医に連れて行くね」。そしてもう1本たばこに火をつけながら、ため息をつく。「女優なんて考えてほしくないよ。まったく」。

「一度経験してみれば、多少はあの商売がわかってくる。ああいうビジネスの実態を知れば、子供にあんな仕事をさせたいなんて絶対に思わないさ。リリーはホントに賢い子なんだ。頭が良すぎて、エンターテインメント業界には入らないと思うよ。できれば作家とか画家になってくれるといいな。ひょっとすると、大統領になったりしてね」。

さらにジョニーはメガネをかけ直しながら続ける。「僕は今、本当に素晴らしい人生を歩んでいると思う。リリー・ローズ・メロディ・デップとジャック・ジョン三世という二人の子供と一緒にね。だから、あまり長い時間、家族と離れ離れになるのは避けたいんだ」。
ここまで家族を思うジョニー。今や世界で最も人気俳優だが、一度家に戻れば、普通の父親も同然。何よりも家族を大切に思い、そんなDADである自分を何のためらいもなく語れるジョニーはやはりクールだ。■

2006年12月発売「FQ JAPAN」創刊より転載。

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