【デヴィッド・ベッカム】DADベッカムインタビュー
2013/08/30
ベッカム夫妻を変えた
ブルックリンとの“ 出会い”
フィールドの貴公子が父親(=DAD)として注目を集め始めたのは、今から実に8年以上もさかのぼる。国民的アイドルグループ「スパイス・ガールズ」のポッシュ・スパイスことヴィクトリア・アダムス(1999年7月に婚姻)が、デヴィッド・ベッカムとの間に第一子ブルックリンを産んだ1999年月からだ。
当時の英国はその2年前、1997年に起きたダイアナ妃の謎の事故死以来、国民全体が長い喪に服していた。その反動からか、ようやく出現した国民的ビッグカップルの動向に誰もが注目していた。これではブルックリンの誕生時、王室に子供が生まれたかのような大騒ぎになったのは必然である。
デヴィッドは後の取材で、ブルックリンの誕生について次のように語っている。
「人生で一番幸せを感じた瞬間は、ヴィクトリアが妊娠したことを知らされた時だね。大喜びして言葉にならなかったよ」。
その後のベッカム夫妻の喜びようは、数々のタブロイドにてよく知っている読者も多いだろう。
「最初の超音波検査にデヴィッドが来たのだけれど、自分の子供の姿を見て泣きじゃくっていたわ。その話をすると、いつでも彼は笑って『君は素晴らしいよ。僕たちの赤ちゃんを温め続けているんだね』と言うの」(ヴィクトリア)。
「ブルックリンが生まれた時、僕は泣いたよ。へその緒は僕が切りたかったけれど、医者がさっさとやってしまってチャンスがなかったんだ」(デヴィッド)。
家族を大切にすることが当たり前の英国人ですら少し鼻白んでしまうほどの浮かれようだが、彼らはそんなことは全く気にしない。初めての子供が誕生した喜びを、あくまでストレートに世間に訴えた。
「父親であることは、僕が経験してきた中で一番の幸せだよ。これ以上のことなんてない」。
――さまざまな会見で、デヴィッドはそれこそ「これ以上ない」ほどの笑顔で語る。
我が子を語る夫妻の表情には、もはや.誇り高き貴公子“も.国民的アイドルシンガー“の顔もなりをひそめている。我々と何も変わらない、ただの愛すべき「親バカ」の顔……。まぎれもなく第一子ブルックリンとの”出会い“が、彼ら自身を大きく変えたのである。
「次こそ女の子が欲しい」
待望の第4子誕生はいつ?
その後もベッカム夫妻は順調に愛を育み、2002年9月1日にロミオ、2005年2月にはクルーズ(いずれも男児)と、3人の子宝に恵まれる。周期的にはそろそろ4人目懐妊のニュースが流れてもいい頃だ。昨年、スペインの記者によって「ヴィクトリア懐妊」のニュースが世界中に流れるという事件があったが、残念ながらそれは誤報だった。
もしかしてそろそろ打ち止め“か?
答えは「NO」。現在の子供が、3人とも男児だったということもあり、彼ら――特に妻のヴィクトリアが、女の子を切望しているというのは有名な話だ。彼女のためにデヴィッドが「男女の産み分けの研究をしている」という、あながち冗談に取れない噂も流れているほどである。
第3子クルーズを懐妊した時の会見で、妻のヴィクトリアは、正直な胸のうちをこのように明かしている。
「女の子が欲しかったわ。今でもね。女同士でしかできないことってあるでしょ」。
3人の息子たちはサッカーに夢中で、特に長男のブルックリンなどは「同じ頃の僕よりもサッカーがうまいって、ママが言っていた」(デヴィッド)ほどだそうだ。
父親が世界的なサッカー選手だということを考えると、彼らは”男同士“のよい関係は築いていけるに違いない。同じようにヴィクトリアも、娘を自分のようにオシャレで美しく育て、”女同士“のいい関係を築けたら、どんなに楽しいだろう――そう考えるのも無理からぬこと。「デヴィッドも私も、今すぐに子供が欲しいとは考えていないの。それに、次も男の子って気がするし」と語っているようだが、それは彼女特有の強がりなのかもしれない。
ヴィクトリアは、娘が生まれる瞬間を夢見て、密かに名前も決めているという。彼女は同じ会見で「私は自分の赤ん坊をLUNA(月)と名づけるわ」とコメント。
「悪妻」と呼ばれる彼女の、意外ないじらしさ。これは夫・デヴィッドの責任は重大だ。次こそは「男女産み分け研究」の成果を武器に、普段ピッチ上で見せる、正確無比なフリーキックのようなミラクルゴールを決めてあげて欲しいものだ。
ところで英国では、ベッカムの移籍と同じく国民の関心事となっていることがある。妻・ヴィクトリア属するスーパーアイドルグループ「スパイス・ガールズ」期間限定の再結成である。
彼女らは、12月7日のロスアンゼルスを皮切りに、ニューヨーク.ロンドン.ケルン.と、1月末までに主要14都市をまわる世界ツアーを行う。5人のオリジナルメンバーが揃ってのリユニオン――スパイス・ガールズのファンにとってはこの上ないニュースだが、ベッカム夫妻にとっては少し気になることがある。
スパイス・ガールズの元マネージャーで再結成の影の立役者でもあるサイモン・フラーが、再結成に際して、メンバーにある規約を提示しているという。項目には、「スパイス・ガールズの思い出に対して、愛情とプライドを持って話せ」など、「すべきこと、してはいけないこと」が書き連ねてあった。そのリストの末尾に記されている切実な一節……「妊娠するな、頼む!」。
タブロイド誌に、「ベッカム夫妻に待望の女児誕生!」の文字が躍るのは、もう少し先になりそうだ。■
2007年9月発売「FQ JAPAN」vol.4より転載。