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インタビュー

父ちゃんは“イジられヒーロー”
岡田圭右インタビュー

イクメンという言葉が生まれる前から育児参加していた岡田さん。 テレビで見せる「すべり芸」の裏には、温かい父親哲学があった。

 

父親は「反面教師」でも「イジられ役」でもいい

映画『それいけ!アンパンマン りんごぼうやと みんなの願い』の声優に岡田さんが抜擢されたとき、岡田家の食卓は「お父ちゃん、アンパンマンに出んのん!?」と色めき立ったという。そんな国民的ヒーローにはかなわなくとも、父親は我が子にとってのヒーローでありたいと願うものだ。

「たとえばプロ野球選手なら『お父ちゃん今日、ホームラン打ったんやで』って言えるし、子供のヒーローになりやすいですよね。でも僕はお笑い芸人で、しかも『すべり芸』をウリにしてるでしょ。以前、鶴瓶師匠の息子さんの駿河太郎くんに『お父ちゃんが芸人ってどういう心境なん?』と尋ねたら『中学生のころは嫌なときもありました』と答えてくれたんです。それ聞いて僕は絶句しましたね。あの鶴瓶さんでさえそうなんやから、俺の場合は一体どうなるんやと。実際に昔、下校中の息子に偶然会ったので話しかけたら、その夜に『お父ちゃん、友達とおるときは話しかけんといて』と言われたことがありました。ヒーローどころか子供には迷惑かけっぱなしかもわかりません。息子も娘も口に出しませんけど……」。

そんな岡田さんの父親像は、多くの男性と同じく、自分の父親の影響を受けている。しかしそれは、愛のある反面教師としてだ。

「昔かたぎのオヤジでね、あんまりしゃべらなかったんです。商売をしていたので、家族で出かけた思い出も少ないですし。だからというわけでもないですが、僕は父親になったら、家族とたくさん会話しようと思ってたし、一緒にいろんなところに行きたいと願ってました。半ば反面教師として見ていたオヤジの大変さや偉大さが身に染みるようになったのは、つい最近のこと。この業界に入るのに大反対だったオヤジが、僕が出演するテレビやラジオを全部録ってたことをあとから知ったんです。口数は少なかったけど、やっぱり子供への大きな愛を持っていたわけですね。今僕は、テレビでも家でもイジられてますが、そんな『イジられヒーロー』のお父ちゃんがいてもいいじゃないですか。子供たちが大人になったとき、『あの頃、お父ちゃんは頑張ってたんやな』と思ってもらえれば十分です」。

0708_03「つるの剛士くんにはえらい迷惑してます!」

 

実は世の中に「イクメン」という言葉が生まれる前から、岡田さんは育児に積極的だった。

「子供が小さい頃は近所の公園や動物園なんかにしょっちゅう出かけてました。上の子は電車が好きだったので、一緒に見に行ったりもしてましたね。なので僕も、今でいうイクメンのはずなんです。でも、プライベートでも仲がいいつるの剛士くんが、嫁のイクメン度のハードルを著しく上げてしまって……。たとえば、僕も子供を連れて海や川に行っていたんですが、バーベキューはしたことがない。つるのくんはそんなのお茶の子さいさいやし、海や川だけじゃなく、子供と一緒に高い山に登ったりしている。嫁にイクメン度を比較されるので、つるのくんにはえらい迷惑してます(笑)」。

息子の反抗期には「反抗期返し」で対抗

そんな岡田さんだが、家庭のにぎやかさでは負けていない。

「とにかく会話を大事にしてます。家でゴハン食べるときは、なるべくたこ焼きとか鍋とかみんなで囲んで食べられる料理にして、ワイワイガヤガヤやってますね。中学や高校の男の子って親と口をきかなくなるじゃないですか。ウチもいわゆる反抗期で息子が無口になったことがありましたけど、そのとき僕は『反抗期返し』を仕掛けました。ダンマリを決めこむ息子にひるまず、こっちはベラベラとしゃべる。距離を置いてしまうと、離れていく一方やと思ったんです。やりすぎて『チッ』って舌打ちされたこともありましたけど。嫁に対しても同じで、何でも言葉にすることを大切にしてます。『ありがとう』の気持ちをきちんと口で伝えないと、女の人には届きません。記念日にはサプライズも企画してます。でも昔、結婚10周年を記念してペアの高級腕時計をプレゼントしたら『コレどうせ偽物やろ!』っていわれまして。ショックでしたけど、そのくらいでめげるわけにはいかない。芸と同じで続けることが重要だし、それが夫婦円満の秘訣なんです」。

中学2年生という多感な時期の娘さんからも慕われている岡田さん。今も2人で出歩くことがあるそう。

「僕は服装を結構気にしてます。高2の息子に流行っている服を聞いたりしてね。娘だって老けこんだお父ちゃんの隣を歩くのは嫌でしょう。。ときどき『若作りしすぎちゃう?』とか言われますけど、そうやって会話が生まれること自体いいことやと思います。だから、オシャレなお父ちゃんでいることを諦めないのも大事ですよね。ヒーローと同じように、やっぱり父親も簡単にめげたり、諦めたりしたらダメなんですよ」。

0708_02PROFILE
岡田圭右 KEISUKE OKADA

1968年11月17日生まれ。大阪府出身。1993年漫才師「ますだおかだ」を結成。豊かな声量とオーバーリアクション、その場の空気を凍らせる「すべり芸」を持ち味としている。2002年「M-1グランプリ」優勝。主な出演番組は「PON!」(日本テレビ系列)「すイエんサー」(Eテレ)など。高校2年生の長男、中学2年の長女がいる。

岡田さんが黒マジョ・マジョーラ役で参加!
アンパンマンで描かれる「真のヒーロー」とは?

0708_01
やなせたかし先生原作の「アンパンマン」劇場版シリーズ最新作。ある日、何者かによって毒リンゴに変えられてしまった美しい島「アップルランド」のりんご。大切なふるさとを元通りにするために、アンパンマンとりんごぼうやは魔法の種を探しに旅立つが……。“かっこいいヒーローに憧れる” 新キャラクターのりんごぼうやを通し、“真のヒーローとは何か?”という問いに答えていく。

『それいけ!アンパンマン りんごぼうやと みんなの願い』
同時上映:『たのしく てあそび ママになったコキンちゃん!?』
公開:7月5日(土)全国ロードショー 配給:東京テアトル
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2014
Photo >> Key N
Styling >> SAKI OHSHIBA
Hair-Make >> MANAMI NEMOTO
Text >> TAKESHI TOYAMA

(2014.07.08up)

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