日本の『母子手帳制度』が海外へ! 世界の子育て事情3選
2023/02/15
世界の“子育て事情”をお届けするWORLD DAD JOURNAL。日本以上に家族の形が多様化されているフランスの状況や、日本の母子手帳制度が世界に広がっている状況などを紹介する。
メイン画像:パレスチナでは母子手帳の電子化も進められている。 写真提供:Kenshiro Imamura/JICA
FRANCE
家族のカタチに左右されない
子供に等しい幸せを届ける
兄弟姉妹それぞれどちらかの親が違う家族も多い。 ©Yukinobu Shuzui
フランスでは婚外子の割合が約6割となっている。家族の形も同性間の関係含め法律婚、PACS(パックス/共同生活を結ぶために締結される契約)、事実婚、未婚と多様だ。例えばPACSを締結した両親の子供は法律婚ではないため非嫡出子となるが社会保障などは法律婚同様に受けられる。社会に選択肢が広くあることで、結果的に子供がどのような家族の形でも世間の偏見にさらされることなく暮らせる雰囲気がある。
DATA
フランス政府:https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/N19805
AROUND THE WORLD
望まぬ妊娠の母子を守る
内密出産という選択肢
熊本市の慈恵病院が日本初の内密出産を導入したが日本は法整備がまだ追いついていない。
身元を明らかにせず出産し、その子供を出産した施設に託せる内密出産が母親と子供を守る選択肢として欧米を中心に広がっている。性暴力などで予期せぬ妊娠をした場合、内密出産はベビー・ボックス(赤ちゃんポスト)とは違い医療施設で出産できるため母子の安全を確保できるからだ。ドイツ、フランスとアメリカの一部州ではすでに法整備がされ、ドイツでは子供が16歳に達すると母親の身元情報閲覧も可能(母親側の開示拒否もあり)。
AROUND THE WORLD
新生児死亡率が最も低い日本の
母子手帳制度が海外へ
ガーナでは記録物の統合に加え栄養指導や発育情報などより使いやすくした。写真提供:JICA
日本の母子手帳制度が世界に広がっている。年間2200万冊が発行され世界の子供と親の16%が母子手帳を利用。妊娠から出産、成長を一連に記録し切れ目ないケアに繋げるためだ。内容は国の事情に合わせて変化。多民族国家かつ女性の識字率が低いアフガニスタンでは絵を効果的に使ったものを言語ごとに作成。思春期の妊娠・出産が多いセネガルでは学童・思春期までの健診欄を設け予期せぬ妊娠や、性的暴力、早婚の注意喚起を行っている。
DATA
文:守隨亨延
FQ JAPAN VOL.64(2022年秋号)より転載