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日本の性教育は遅れている? セックスや身体のことだけじゃない『包括的性教育』とは

SDGsでのジェンダー平等、LGBTQなど「性」にまつわるコトが周知されつつあるが、「性教育後進国」といわれる日本での性教育は海外とはどのような違いがあるのだろうか。大人になったいまこそ学びなおそう。

身体・セックスを
学ぶことだけじゃない

日本では「性教育」といわれると性行為そのものがイメージされるが、欧米では人権や人間関係を学ぶところからスタートする。ジェンダーの平等や性の多様性までを含む「包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education)」が、性教育のスタンダードとなっているのだ。

この「包括的性教育」は、8つのテーマで構成され、性行為に関するテーマは⑧の「性と生殖に関する健康」で初めて登場。①~⑦までは人間関係や互いの権利・文化・セクシュアリティの尊重、合意の大切さについてじっくり学ぶことになる。8つを一体に学んでいくからこそ、性についてをタブー感なく話せる社会になるのだろう。

包括的性教育とは?

①人間関係
②価値観、人権、文化、セクシュアリティ
③ジェンダーの理解
④暴力、同意、安全
⑤健康と幸福(well-being)
⑥人間の身体と発達
⑦セクシュアリティと性的な行動
⑧性と生殖に関する健康

→日本の性教育では⑥⑦⑧について学ぶことが多い

※ユネスコが中心となって作成された「国際セクシュアリティ教育ガイダンス(International technical guidance on sexuality education)」で示されている、性教育における標準的指針。

 

まずは権利から

性教育において「権利」という言葉は、これまでに日本で教育を受けた人にとっては意外に感じる言葉かもしれない。世界の性教育のスタンダードとなっている「包括的性教育」において「性と生殖に関する健康と権利」は重要視されており、すべての人には、性や生殖に関して尊重される権利がある」と考えられている。

子供に性教育を行う時も、まずは「すべての子供にイヤなことをされない権利」があることを理解させることが大切。「あなたには、あなたの気持ちを尊重される権利がある」「大切な身体のパーツを勝手に触られる(権利が侵害される)のはイヤなこと」「イヤなことをされたらイヤ! と言っていいんだよ」と教えるところから。

権利を知ることで、相手を尊重する立ち居振る舞い、マインドが身につく。

LGBTQ

性的指向が異性であり、性自認が身体・戸籍上の性別と一致する人が社会では多数。一方で、それとは異なるあり方で生きるマイノリティを指す言葉として「LGBT」が知られている。

本来、性のあり方はレズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4種に分類できるほど単純ではなく、「Q(自分の性別・性的指向を決められない人)」「I(インターセックスもしくはDSD)」「A(アセクシュアル・無性愛者)」や、この他にも多様な人が存在することを意味する「+(プラス)」を末尾に加えて使用することもあるほど多様である。

あくまでも自分と人が関わるときに、自分を説明するための「共通言語」のようなものであり、性的マイノリティをLGBTQで囲うこと自体が偏った見方になるという意見もある。すべての人が当事者である「SOGIE」という考え方への転換、総称が広がってきている。

SOGIE(ソジー)

「性的指向(Sexual Orientation)」「性自認(Gender Identity)」「ジェンダー表現(Gender Expression)」の3つのワードを組み合わせた用語。

すべての人に関わる概念であり、すべての人の性のあり方は、この3つの要素を組み合わせており、男性・女性の2通りに限定されず、多様であるという考えを示す。

2006年以降、国際連合での正式文書ではLGBTではなくSOGIEが用いられており、2016年には日本の文部科学省公文書の中でもSOGIEについて記されている。読み方はソジー、ソギー、ソジなど様々で、さらに身体の性的特徴(Sex Characteristics)を加えた解釈もある。


文:藤城明子

FQ JAPAN VOL.61(2021年冬号)より転載



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