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【育休パパのすすめ】男性育休の取得しやすい職場をつくる『上司=ボス』の在り方

改正育児・介護休業法が成立し、「男性版産休」制度が新設された。法改正にあたって厚生労働省と話し合いを重ねた、ファザーリング・ジャパン(FJ)の代表・安藤哲也さんに話を聞いた。

男性の産休・育休
取得促進には何が必要か

今年6月の国会で、改正育児・介護休業法が成立し、子供が生まれた直後に父親が通常の育休とは別に取得できる「男性版産休」制度が新設されました。ご存じの通り、ファザーリング・ジャパン(FJ)は男性育休をずっと推進してきました。

今回の法改正にあたっても、厚生労働省と話し合いを重ねて、より実効性のある法律にしようと努めました。政府には2025年には育休取得率30%という目標があります。この目標を達成するには、どうすれば良いのでしょうか?

やはり、1つずつ男性の産休・育休取得を阻む要素を消していくしか、手はありません。男性が育休を取得しない主な理由は収入不安です。現在の育児休業給付金(休業開始前の賃金の67%)は世界的にも最高水準ではありますが、それでも収入が減るのは困りますよね。

ママが「育休なんか取らないで会社に行って!」という場合もあります。今回の法改正にあたって、FJは「給付金を100%に!」と訴えましたが、実現はできず。次回こそ、100%にしたいと考えています。

また、男性が産休・育休を取得しない理由には、会社に迷惑を掛けてしまう、あるいはキャリアに対する不安、といった職場の問題も挙げられます。ですから、パパやプレパパに対するイクメンセミナーだけでなく、職場を改善するための行動=イクボスセミナーを行わなければなりません

「男性が産休・育休を取得して何するの?」なんて言ってしまうボス……今や絶滅危惧種ではありますが、生き残っているのも事実。ボスは変わらなければいけません。一方でパパ側にも、出世レースから降りられない、降りたくない、という人が散見されます。

法改正だけでなく、根本的に組織論や人生論の“OS”を入れ替えなければ、誰もが気兼ねなく産休・育休を取得できる世の中には、ならないのかもしれません。

産休・育休を長期的な視点で
捉えるイクボスが重要

とはいえ、前時代的なボスも残ってはいるものの、私がイクボスセミナーで出会うボスは、感覚的には8割が時代の変化を理解していて、男性の産休・育児取得は当たり前だと考える企業も増えてきています。管理職の間で「ダイバーシティは経営戦略の1つ」という理解が進んでいる表れです。

ダイバーシティという考え方は、女性活躍からLGBT、介護、男性の産休・育休へと広がっています。いまや女性の育休が職場で特別視されないように、いずれ男性の産休・育休も当然の時代になります。

ところが、産休・育休の話題になると「子供がいない人にとって不平等だ」という声が現場から挙がることも。産休・育休を経て、ママになって職場に戻って来た人は、すぐに完全復帰できるわけではありません。

赤ちゃんを保育園に預けるには送り迎えが必要ですし、子供が熱を出して保育園からお迎えコールが掛かってくることもあるでしょう。そうしたママや産休・育休を取得したパパだけが仕事を休めて不公平だ、という理屈です。

そんな時こそ、イクボスの出番! パパ&ママは、子育て=次世代育成という重要な社会事業をやっているのです。職場=チーム一丸となって、彼らをサポートする雰囲気を醸成していきましょう。それでも不満を漏らす社員には「君がパパになったとき、どうするの? 君の親が倒れたら誰が介護する? 自分が育児休暇や介護休暇を取得することがあるかもしれないよ」と、諭してあげましょう。

独身の社員にも、平時からワークライフ・バランスを意識させておくことが大切です。なるべく定時で帰れる職場になるよう、業務の効率化やルール化を進めておく。メンバー全員が常にフル稼働しているようではNG。

それには業務の属人化を極力避けること。その人にしかできない仕事があるのは人間国宝だけです(笑)。いつ、誰が抜けても仕事が回る体制作りを平時から構築しておきましょう。

そして産休・育休取得者には「今、君を助けてくれている社員がパパ&ママになった時、彼らをサポートしてあげよう」と伝えることを忘れずに! これが次世代のイクボス育成そのものだからです。

PROFILE

安藤哲也

1962年生まれ。2男1女の父親。2006年、NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)を立ち上げ代表を務める。NPO法人タイガーマスク基金代表。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員などその活動は多岐に渡る。新著は『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』(扶桑社)


文:川島礼二郎

FQ JAPAN VOL.60(2021年秋号)より転載



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