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子供は親を選べない! 8割の子供たちが“家庭の温かさ”を知らない現実

経済的事情や虐待などで、実親のもとで暮らせない子供たちがいる。彼らの養育を担っている一つが施設、もう一つが里親やファミリーホームだ。国は、より家庭的な環境で養育することが望ましいとして、里親制度の拡充を推進している。しかし、なかなか里親に巡り合うことができない子供が多い現実がある。

里親数は伸び悩んでいる

実親のもとで生活できない子供のうち、里親等に預けられる子供の割合が「里親等委託率」だ。2019年度末で、里親に委ねられている子供は6,858人(ファミリーホームで暮らす1,434人を含む)。これは委託率にすると19.7%にとどまる。8割の子供が家庭の温かさを知らずに生活しているのだ。

ちなみにファミリーホームとは、養育者の家で、5~6人の子供が生活する、里親型のグループホームのこと。

里親のもとで育つことができる子供はここ数十年間、増えているとはいえない。下記は里親と、その家庭で暮らす子供の数の推移だ。

 
西暦 1955年 1965年 1975年 1985年 2015年 2017年
里親 8,283 6,090 3,225 2,627 3,817 4,245
子供 9,111 6,909 3,851 3,322 6,234 6,858



国の目標と自治体にギャップ

日本では長い間、児童養護施設や乳児院が不利な状況の子供たちの養護を担ってきた。政府が家庭養護優先に方針転換したのは2011年と最近のことだ。そのため里親制度がまだまだ定着していない。

国は2017年、委託率の目標を、3歳未満の乳幼児で75%、学童期以降を50%以上にすると決定した。各自治体に対しては「子供の権利や子供の最善の利益はどの地域においても実現されるべきもの」として、国の数値を念頭に2029年度末の数値目標を、今年度末までに設定するよう求めている。

しかし、地域で現場を担う自治体にとって国の目標はハードルが高いようだ。

厚生労働省は昨年12月6日の時点で取りまとめを行ったが、関東では川崎市や相模原市が国の目標値に近かったものの、多くの自治体で下回った。最も低いのは横浜市で、乳幼児のうち3歳未満が31.9%、3歳以上就学前が30.4%、学童期以降は18.3%だった。埼玉県、東京都も低かった。



すべての子供に幸せになる権利を!

里親になるためには、所定の研修を受けるなど一定の要件を満たしていれば、特別な資格は必要ない。

また、里親の形態にも数日間だけ子供を家に迎える「季節・週末里親」、養子縁組して法的にも親子関係を形成することを前提とした「養子縁組里親」などがあり、里親側の事情を考慮することも可能だ。なお、子供の養育に必要な費用として、毎月手当や生活費も支給される。

一番大切なのは子供を愛そうという姿勢だ。この制度の対象となる子供は、幼年期に心に傷を負ってしまっていることが多い。その分、里親は愛情を注いで育ててあげなければならない。子供は親を選んで生まれてくることができない。しかしすべての子供に幸せになる権利がある。里親制度が十分に機能して、生まれた家によって子供が不幸な人生を強いられたりしない社会の実現が求められる。

DATA

公益財団法人全国里親会


Text:平井達也

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