呪われた現代の父親たち。 スーパーマンであれ!という重圧からの解放:小島慶子
2019/12/26
ペアレンティングアワード2019文化人部門を受賞された小島慶子さん。彼女のカッコイイ生き方や考え方は、一体どこからくるのか?今回は、「肩書きを生き方と同一視するのはそろそろやめませんか?」をテーマに、お話を伺った。
「男性はこうあるべき」という
思い込みを外すことに成功
編集部:小島さんは現在、オーストラリアのパースに移住して6年経ち、2人の息子さんたちは16歳と14歳です。”大黒柱マザー”として日本に出稼ぎにきて、旦那さんは現在”専業主夫”。旦那さんが「仕事を辞めたい」と言った時、最初にどう思われましたか?
小島:夫はそのとき47歳。25年近くテレビ業界で忙しく働いてきて、「一度、人生の風景をよく見てみたい」「ちょっとリセットしてみたい」と言いました。夫はそれまで人知れず悩んでいたようで、ちょっと痩せたなとは思っていましたが、まさかそこまで深く悩んでいるとはまったく気づきませんでした。私、相当な鈍感ですね(笑)。
私が会社をやめてフリーになるとき夫は、妻が無収入になるリスク込みで「応援するよ」と言ってくれましたから、私がその申し出を断るのはフェアじゃない、今度は私が応援する番、よし、頑張るぞ! と。
大人の態度を取ったものの、その後「人はこんなに混乱するのか!?」というくらい、ものすごいパニックに陥りました。
編集部:でも、小島さんは「人生は一度きり。生きたいように生きればいい」と旦那さんが無職になることを最終的には応援しました。
小島:もちろん彼の気持ちはわかりすぎるほどわかっていましたが、「働かない男の人と結婚している自分」はかなり想定外でした。自分がこんなに狭量な人間だなんて知りたくなかった。それはそれはしんどかったですが、私は数年かけて、男性に抱いていた「こうあるべき」という強い思い込みを外そうと※1したんです。