1日の授乳回数18回、オムツ替えは28回…。多胎育児に正しいサポートを。
2020/01/12
全国で多胎育児をしている1591世帯の実態調査アンケートを行った結果、壮絶な実態が明らかとなった。なぜ多胎育児はこんなに大変だと叫ばれるのか。本当に必要なサポートとは......?
なぜ多胎育児は大変?
赤ちゃんの育児は24時間体制である。特に多胎育児ともなると、その大変さは想像を絶する。
「外出・移動が困難」、「気持ちがふさぎ込んだり、落ち込んだり、子どもに対してネガティブな感情を持った」、「家事育児の人手が欲しい」などの悲痛な声が挙げられた。
ここではアンケート結果を見ながら、多胎育児家庭に対してどのようなサポートや理解が必要かを考えていく。
多胎育児が理由では保育園に入れない?
多胎児家庭は保護者が育児を担う必要があるが、現在、保育園の入所の基準となる項目に「多胎育児中であること」は含まれていない。
しかし、現在の保育必要性認定の基準に「保護者の疾病や障害」があり、「育児負担が親の養育キャパシティを越えている場合に保育所が補う」とするならば、保育園がセーフティネットとして活用されることが望まれる。
居宅訪問型の一時預かりサービスや外出援助、行政が多胎育児を把握した時点で、情報や具体的支援を届けられるサービスを充実させることが必要である。
多胎児の育児で困ることは?
多胎育児のサポートを考える会では、多胎育児家庭を対象にアンケートを実施。
全国で多胎児育児をする1591世帯より回答が得られた。その結果、驚くべき実態が分かった。
多胎育児中に辛いと感じた場面
最も多かった回答が「外出・移動が困難」(89.1%)であり、全体の9割が回答していた。
「市の保健センターの職員に、児童館や園庭解放などに積極的に行ってみるようアドバイスがあったが、移動が困難」、「2人同時に泣かれたら怖いので交通機関を利用できない」といった、単胎育児経験者の職員からの助言に対するギャップや、外出・移動に対する悩みがあった。
気持ちがふさぎ込んだり、落ちこんだり
子どもに対してネガティブな感情をもったことがあるか?
多胎育児家庭の93.2%が「気持ちが落ち込んだ」と回答した。
外出が困難であるのと、サービス内容が単胎育児向けのものが多く、一時保育やファミリーサポートが受けにくいため、結果孤立してしまうケースが見受けられる。
どのようなサポートがあれば気持ちが和らぐか?
半数以上の家庭が、「家事育児の人手」(68%)と回答しており、「金銭的援助」(57%)、「子どもを預ける場所」(52%)、「同じような人との交流」(43%)となっている。
ママだけの育児では限界があること、サポート不足、社会との交流の機会が少ないなどの問題が浮き彫りになっている。
毎年100人に1人が
多胎児ママになっている
厚生労働省「人口動態統計」では、近年の不妊治療の増加により1980年代より多胎児出産が増加傾向にあり、現在では毎年100人に1人の割合で多胎児の母親になっていると言われている。
2017年の双子・三つ子等多胎で生まれた出生数は9914件であり、2010年より1万件前後を横ばいに推移している。
1日に授乳は18回
オムツ替えは28回
壮絶な多胎育児の実態とは
多胎家庭では大きな育児負担を親が抱えていると言われている。ある多胎家庭(0歳育児)を振り替えると、
1日に授乳は18回、オムツ替えは28回行っており、沐浴も人数分こなさなければならず重労働であった。
よって、養育者の休息時間の確保が困難な状況であるといえる。
安心して多胎育児ができる
社会にするために
新生児・乳児育児は大変なもの。それが多胎育児ともなると壮絶である。
いざ妊娠し、双子・三つ子だと分かると、ママの戸惑いが大きいだろう。
社会全体が、多胎育児の現状について理解していくことが大切だ。
多胎育児は大変であるが、同時に家族が増える喜びもある。地域と周りの人のサポートを上手く借りながら、安心して、多胎育児を楽しんでいこう。