仕事人間から地域人に。残業をしない働き方を選び育児や人生が変わった
2018/09/01
今住んでいる地域に、ぐっと深く関わってみることも「ライフシフト」のひとつ。新しい使命、知らなかった遊び、深く長くつながれる仲間が、そこに待っているかもしれない。残業をしない働き方にシフトし、家事・育児を自分ごとに変えた、パパ団体「ねりパパ」代表の森健也さんに聞いた。
強く長くつながれる仲間が、
そこに待っているかもしれない
東京・練馬区のパパ団体「ねりパパ(練馬イクメンパパプロジェクト)」の代表を務める森 健也さん。実はこの団体を発足する直前まで、超がつくほどの仕事人間だった。
「もともとは仕事大好きで、数字大好きの営業マン。育児と家事は女性がするものだと思っていました。長女が生まれてもしばらくは育児に目覚めすらしませんでしたね」。
育児、そして地域に目が向くきっかけとなったのは、自宅の購入。
「自分はこの地域で死ぬんだと思ったときに、地域にもっと関わってみようという気持ちが湧いてきました」。
とはいえはじめは新しいライフスタイルを模索する日々だった。ボランティアに参加したり、講演会に出席したり。そんなときに背中を押してくれる言葉と出会う。NPO法人ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也氏の講演だった。
「父親であることを楽しもうという生き方に、完全に切り替えることができました」。
今住んでいる地域に、
ぐっと深く関わってみる
「ねりパパ」チームで参加した、練馬こども祭り。バルーンアートと絵本の読み聞かせのコラボレーションで、子供たちから大人気!
「子供は地域へのパスポート」という言葉に、目指す地域活動も見えてきた。同時期に縁があって転職し、それをきっかけに定時に帰る働き方にチェンジ。家事、育児も奥さんと分担するようになった。今では朝、夕のご飯は森さんがつくり、家族全員で食卓を囲む。児童館での読み聞かせや、地域イベントへの参加など、「ねりパパ」の活動や、メンバー同士で遊ぶイベントには積極的に子供たちを連れていく。
「子供を“地域人”にするというのもミッションのひとつ。学校以外の人間関係をつくってあげられるのも父親として嬉しいんです」。
ねりパパの活動は、基本的に月1回。無理せず、楽しむ。なぜならもっとも大切にしているのは、家族とともに過ごす時間だから。残業はしないが、仕事もほどほどにしたわけではない。周囲とコミュニケーションをとって理解を得、結果は出す。「業績や出世の速度は変わっていないと思う」と森さん。
子育て期間で終わらない
きっと50年後も続く活動
ところで子供が成長したら、「ねりパパ」の活動やイクメン活動はどうするのだろう?
「いやいや、50年後もやっていますよ。仕事が終わっても集える仲間ができたし、孫を見ながらイクじい同士が集まるのも楽しいはず。死んだときに、この地域におもしろいおじいちゃんがいたなと、思い出してもらえたらいいなと思っています。
森さんの「ライフシフト」ステップ
~35歳:「男は仕事、女は家」という価値観で仕事に邁進
37歳:東京・練馬区に自宅を購入、地域活動への興味
38歳:「練馬イクメンパパプロジェクト」スタート
40歳:残業をしない働き方にシフト 家事・育児を自分ごとに
PROFILE
森健也さん
1973年、大阪生まれ。2010年、ねりま子育てネットワークで出会った有志と「ねりパパ」を立ち上げ、地域に根ざしたイクパパ活動に取り組む。10歳の長女と4歳の長男との4人家族。
Photo >> KAZUKI ONOUCHI
Text >> MAKIKO FUKUDA
FQ JAPAN VOL.47より転載