子供が大人になったときに必要な力とは?AI時代を生き抜くコツ
2018/04/25
僕たちの身近な存在となった AIが進化していくことで、いずれ僕らの仕事が代替されると言われている。我が子が大人になった時、どんな力が試されるのだろうか。AIがサポートする「幸せな時代」とは一体どういうものか、藤野氏と一緒に考えていこう。
「人の心」を重要視する
モデレーター
次にモデレーター。ここでは人の感情を察し相手に働きかける”ホスピタリティ”が求められる。藤野氏 は、人間にしか持ち合わせない感性、身体、直感を磨くべきだという。
「感情・感性・直感は身体的感覚と繋がっています。緊張で身体が震える、喜びで身体が熱くなる。人間は身体を持つからこそ、感情を持てます。ロボットは身体を持たないからこそ、感情というものが分からないのです。また五感や直感と言われる第六感は身体性を意識することで伸びていきます。
自分が感じたことを表情・手振り身振り・声などを用いて柔軟に表現できる人。考えることだけでなく感じることが得意な人。 こうした人が好きで、場に安心感を生み出すこの領域の人たちを、場を和ます人という意味でモデレーターと名付けました」。
求められるのは、
AIと対極にあるイノベーター
イノベーターは、AIの得意な領域と正反対にあり、最も代替されにくい。既成概念にとらわれず、自分の感覚や発想で、今までにない新しい価値観を生み出す仕事。それこそがこれからの子供たちに求められることだ。
「イノベーターたちの発想は今までの考え方とかけ離れていることが多く、周囲からは、ぶっ飛んでいるとか、あり得ない、という感想を持たれることも少なくありません。そのために、現状の組織や社会においてあまり評価されていないということもあるでしょう。しかしだからこそ、変化していくこれからの時代において、価値を発揮する可能性が高いとも言えます。
どうやったらイノベーターになれるのか、を求めてしまいがちですが、研修のような能力開発の現場で働いていて思うのは、人は一足飛びにイノベーターにはなれないということです。ただ、人には得意分野がありますので、自分の反対側にある仕事・事柄にチャレンジして、コミュニケーターとモデレーターの両分野から能力を伸ばしていくことが大切です」。
さらに藤野氏は、このAIの進化 は、今まで大事だったことが一気に価値を失うような大逆転現象が起きると考えている。
「大富豪というトランプのゲームで、同じカードが4枚そろったときに起こせる『革命』という一手があります。革命が起きると、これまで強い札であった絵札やエースが弱くなり、弱かった札ほど強くなることで一気に形成が逆転します。まさに今起きているのは『第4次産業革命』 なのです」。
AIが進化するほど、『人間らしさとは何か』が大事な時代になる。
「仕事の質的変化が起き、AIはサポート的な役割として活用され、人間にとっては”幸せな時代”になると言えます。要はやりたいことに集中していける時代。そうなると、お金や生活のためではなく、そもそも何をやりたいのか。どんな働き方ができえたらハッピーなのかを考えることが大事になっていきます」。
これからの子供たちには今、やりたいこと・好きなことを見つけ、探求していく力が必要なのだ。
職種を入力すると、将来AIに代替される確率を教えてくれる日本経済新聞のウェブサイト「わたしの仕事、ロボットに奪われますか」。
PROFILE
藤野 貴教 氏
株式会社働きごこち研究所代表取締役。「人工知能の進化と働き方の変化」をテーマに研修・セミナーを開催。愛知県へ移住し、田舎で子育て真っ最中。
FQ JAPAN VOL.46より転載