過保護は子供の成長を妨げるのか?
2016/03/17
ほとんどの親は、子供たちの安全を守るためなら、どんなことでもできると認めるだろう。 しかし、様々な危険から子供を守るために骨を折っていることが、実は良いどころか害を及ぼしていると知ったらどうだろうか?
理想的な大人に育てるために
親の心配性を和らげる
子育てに対する親の不安は年々高まっており、行動を親に縛られていると感じる子供たちの数も増えているのをご存知だろうか。そして、それは結果的に子供たちの成長を妨げることになっている。1971年、7〜8歳のイギリス人のうち80%は徒歩で学校に通っていた。しかし、1990年にその数値は9%にまで落ち込んでいる。
そして2007年、「チルドレンズ・ソサエティ」(英国のチャリティ団体)が行った調査によると、『子供は14歳になるまで友達同士で出かけるべきではない』と考えているイギリス人が43%もいることがわかったという。これは、今の世代の親たちを責めるだけで解決するような単純な事態ではなく、もっと根深い問題が潜んでいることを意味している。英国有数の育児専門家であるティム・ジル氏はこう語る。
「今日の子供たちは、今までのどの世代よりも過保護に育てられており、行動を制限されています。それは子供の心身の成長に良い影響を与えていません。これは『過保護な親時代が到来した』で済ませるような話ではなく、現代社会全体に問題があることを真剣に考えるべきなのです」。
昔と比べると、世の中は遥かに便利になった。より多くの情報に瞬時にアクセスできるようになったし、人同士の交流の仕方も変わった。何事においてもテクノロジーに大きく依存するようになったということが一番の変化だろう。こういう時代になったことから、家の中で長い時間を過ごし、子供を常に監視している家庭がかなり増えた。そして、子供を心配することは間違っていないという気持ちも加わり、自分が考える「安全区域」から子供を出そうとしない親ばかりになった。
「親たちは子供に、忍耐力や責任感を持った、自立した能力のある大人になってほしいと強く思っているはずです。そのためにも、子供にすべての選択権を与え、躓きながらも最終的には自らの力で答えに辿り着くような環境を作ることが大切だ」とジル氏は語る。