パパのための新・ワクチン講座2012
2013/08/31
2012年9月1日より導入開始! ポリオを予防する“不活化ポリオワクチン”とは?
2012年9月1日より導入開始!
ポリオを予防する“不活化ポリオワクチン”とは?
歴史的出来事ともいえる「不活化ポリオワクチン」の導入が、2012年9月1日よりスタート。
いままでの経口生ポリオワクチンの接種が中止され、不活化ポリオワクチンへと切り替わった。
「今までとどう違う?」「接種回数はどう変わる?」などなど移行期に多い疑問をしっかり解決!
Illustration >> MAKOTO HIRASAWA Text >> MIKAKO HIROSE
予防接種は必要?
日本では1961年から経口生ポリオワクチンの接種が開始され、1964年には「定期接種」に。予防接種の普及により、野生株によるポリオ患者は1980年の報告を最後に確認されていない。アメリカ地域や西太平洋地域、ヨーロッパでも同様に、WHOによってポリオの消滅が確認されている。しかし、消滅したのは特定の地域だけ。ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンなどは現在でもポリオ常在国。グローバル化が進んだ現在、いつでも伝搬される可能性は高く、ワクチン接種率が下がれば大流行する危険性も秘めている。ワクチン接種は「自分の子供の感染予防」だけではなく、「世界中の子供の免疫を守る」という親の高い意識が必要。
ポリオってどんな病気?
紀元前1300年以上前のエジプトの石碑に患者の姿が描かれているほど古くから存在すると言われている病気で、現在に至るまで流行を繰り返してきた急性のウイルス感染症。一般的には「小児まひ」と呼ばれているが、大人もかかる感染症で、正式には「急性灰白随炎」という。口から侵入し、咽頭や小腸の粘膜に感染・増殖することで発症する。軽症の場合は、発熱・頭痛・全身倦怠感・胃腸症状のみだが、重症の場合は、四肢まひを引き起こす。
発症すると、現在の医学では完治しない病気。しかし、ポリオはVPD(ワクチンで防げる病気)のひとつ。つまり、ポリオから我が子を守る唯一の方法が、ワクチン接種による感染予防といえる。
不活化ポリオワクチンでも
感染予防の効果は劣らない?
不活化ポリオワクチン(野生株由来)は、米国、カナダ、フランス、ドイツなど、承認取得国数87ヶ国以上で使用され、累計約8億本以上の実績がある。臨床試験で検証された感染予防効果は、米国の野外試験において80~90%、インドの試験では92%。オランダとスウェーデンでは野生株由来の不活化ポリオワクチンのみでポリオを撲滅している。長期の予防効果においても、初回接種から5~6年後の抗体陽性率は 94~99%という結果。生ポリオワクチンは、体内で突然変異し麻痺を起こす能力を再獲得した結果、ワクチン由来のウイルスによるポリオ患者が発生することがあるが、不活化ポリオワクチンにはその危険がないのが親にとっての安心材料といえる。
“生ポリオワクチン”と
“不活化ポリオワクチン”の違いって?
「不活化ポリオワクチン」は、1955年から世界での使用が開始され、すでに約60年接種されている。感染予防効果の高さとワクチン関連麻痺がないことが実証済みのワクチン。それに対し、日本で長年使用してきたのが「生ポリオワクチン」。接種後、ポリオにかかった時と同じ症状が出て、まひなどの後遺症が現れるなど被害があったため、社会問題となった。2012年春の接種率が60%台まで落ちこみ(厚生労働省発表)、同年9月1日についに長年切望されていた「単独不活化ポリオワクチン」(野生株由来)が導入された。
生ポリオワクチンを受けても不活化は必要?
経口生ポリオワクチンの接種をすでに2回受けているなら、不活化の追加接種は必要ない。しかし、まだ1回しか受けていなかったら、あと3回の不活化ポリオワクチンの接種が必要となる。
不活化ポリオワクチンは皮下注射を4回打つ必要があり、これまでとは違って集団接種ではなく、医療機関での個別接種となる。初回接種は、生後3ヶ月から3~8週の間隔を空けて3回接種。その後6ヶ月以上空けてから4回目を受ける。単独不活化ポリオワクチンの4回目に関しては2012年10月23日より定期接種化されたので、自己負担なしで接種できるようになった。いずれにしても新しいワクチンが導入されたばかりの移行期は非常にわかりにくい状況だ。遠慮せずに小児科医に相談してスケジュールを組み立ててもらおう。
■ナビタスクリニック立川
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FQ JAPAN vol.25より転載