約15%のママが産後うつに?家族のためにパパができる、男性育休の取得を考えよう
2023/08/28
『パパ』の最初の仕事は、仕事を休むこと。約30年前から男女ともに育休を取得することができたが、「男性が育休を取るなんてありえない」という風潮が根強かった。しかし、いまやパパの育休取得は当たり前のものになってきている。
男性育休の取得率は右肩上がり
パパも育休があたりまえの時代へ
育児休業とは、仕事と育児の両立を支援するために「育児・介護休業法」で定められている制度です。原則として、1歳(保育所等に入所できないなどの場合は最長で2歳)になるまでの子どもを持つ従業員は、誰でも取得することができます※1。
約30年前に制度が創設された当初から、男女とも育休を取得することができましたが、「育児・家事は女性がするもの」「男性が育休を取るなんてありえない」という風潮が根強く、平成8年(1996年)の男性の育休取得率は0.12%。その後も2~3%台で低迷していました。
こうした状況を改善するため、平成22年度(2010年)に厚生労働省では『イクメンプロジェクト』を発足し、育児休業の取得方法の解説や、企業の人事に向けたセミナーの開催、男性が育休を取得しやすい雇用環境整備の促進などに取り組んできました。その結果、令和3年度(2021年度)には過去最高の13.97%まで上昇するなど、いまや、パパの育休取得は当たり前のものになってきているのです。
※1 条件を満たす必要があります。
男性の育児休業取得率の推移
出典:厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」
ママの産後うつ対策にも
育休取得がもたらすメリット
わが子の成長を感じる瞬間は育児の最大の喜びです。育休を取得することで、子どもと過ごす時間が増えれば、こうしたかけがえのない体験を夫婦で共有することができます。また、育休中に育児・家事スキルを身につければママも安心して仕事に出かけられますし、限られた時間内で効率的にタスクを終わらせる時間管理能力がアップすれば、仕事の生産性も向上するでしょう。
そして、産後のママのサポートも、パパの大事な役目です。「産後うつ」は日本の母親の約10~15%にみられるといわれ※2、不安やイライラ、不眠、自分を責めてしまう、子どもに愛情を持てないなどの症状が現れます。原因は、出産による女性ホルモンバランスの崩れや、周囲から十分なサポートが得られないことからくるストレスと言われています。そのため、パパが育休を取得し、育児を協力して行うことが、ママのストレスを軽減し、産後うつを防止することに大きく役立つと言えます。
※2 出典:公益財団法人日本産婦人科医会「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル~産後ケアへの切れ目ない支援に向けて~」
育休取得の不安を解消!
父親の仕事と育児両立読本
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本書は、イクメンプロジェクトの一環として制作しており、育児休業の取り方から妊娠・出産・子育てにまつわる基礎知識、仕事と育児を両立させるためのヒントまで、幅広い内容を収録しています。また、先輩パパたちによるリアルな体験談も紹介しています。ウェブサイト「イクメンプロジェクト」からダウンロードできるので、ぜひお役立てください。
【まとめ】
● パパの育休取得は、育児・家事スキル習得のための大事な仕事
● ママの産後うつを予防するためにはパパのサポートが大切
PROFILE
厚生労働省 雇用環境・均等局
職業生活両立課
FQ JAPAN BABY&KIDS VOL.65(2023年夏号)より転載