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【レビュー】『ポルシェ718ボクスター』の魅力は走りだけじゃない?スペックを大解剖

子育て世帯にとって欠かせない相棒であるクルマ。子供の成長に伴い、快適性から走行性など求めるスペックも変わってくる。ここでは、FQUKの編集者 ティム・バーンズ・クレイがいま気になるクルマのテスト走行を行い、その魅力をレビューする。

高い運動能力&
驚くほどの燃費の良さ

長年にわたり、ボクスターはロードスターのベンチマークであることを証明してきた。この車の時代を超越した外観は、切望されたポルシェの名前とともに、自動車ファンを魅了する。「718」と呼ばれる最新世代のミッドシップ2 シーター ドロップトップオープンカーは、ターボチャージャー付きのフラットな水平対向4 気筒DOHC「通称ボクサー(水平対向)」パワープラントを搭載している。

現在のボクスターは、1950年代と1960年代に多くのレースで勝利を収めた、4気筒の「ボクサー」ガソリンエンジンを搭載したポルシェのミッドシップレーシング・スポーツカーを思い起こさせるものだ。

2.0lターボチャージャー付きのボクスターは、その高い運動能力に加え、300psの高性能を誇るが、驚くほど燃費が良いのが特徴である。ホットな走りを楽しんでも平均燃費は8km/lを大きく下回ることはない。

パワーユニットともに魅力的だと感じるのは、一流のサスペンション チューニングと瞬時に絶妙な減速を行ってくれるブレーキだ。その結果、独特のダイナミックでエモーショナルなボクスターのドライビング エクスペリエンスが実現する。

パワーとハンドリングを優先するのであれば、標準仕様の718 ボクスターでも十分満足できる。そのコーナリング能力は素晴らしく、街中からワインディングロードまで気持ちいい走りを楽しむことができるだろう。さらに上位モデルとして、スポーツサスペンションを装着し、機械式LSDと20インチタイヤを組み合わせたボクスターTも用意されている。ボクスターTはサーキット走行までこなす、オン・ザ・レールの意のままの走りが魅力の上級グレードである。また、十分な実力を備えたエンジンは高回転まで気持ちよく回り、加速時に放つボクサーサウンドも耳に心地よく感じる。

さらに、車体の剛性が高く、サスペンションの動きもいい、このスポーツカーは、限界域までコントロールしやすいためビギナーでも不安感を抱くことがない。ポルシェが欲しくても、神経質になってしまうと思って一歩を踏み出す勇気がない場合は、じっくり考えてみてほしい。718 ボクスターには挙動の安定性を制御する機構が組み込まれており、安全で気持ちいいドライビングを上手にアシストしてくれる。この緻密な制御技術についてはほとんど知る必要はないが、ドライバーの手に負えなくなる前にスタビリティコントロールがすぐに介入し、助けてくれるのだ。

ポテンシャルの高い
走行能力


ボクスターは、高速道路からワインディングロード、そしてサーキットまで、オールマイティにこなす最適なスポーツマシンである。信じられないほど操舵レスポンスが鋭く、爽快なドライブを楽しむことができる。

日本仕様のパワーユニットは2150rpmから4500rpmまでの広い回転域で37.8kg-mのトルクを発生する。この718 ボクスターは2.0lユニットの牽引力には、思わず笑みがこぼれる。標準は6速のマニュアルトランスミッション(MT)だが、試乗したテスト車両には、オプションの「ポルシェ ドッペルクップルング」と呼ばれるダブルクラッチ オートマチック トランスミッション(7速タイプのPDK)とスポーツクロノパッケージが組み込まれている。このドロップトップは4.7秒で停止から100km/hまで加速し、駆け抜ける。

ただし、ボクスターの最高速度275km/hを体験したい場合は、ドイツ連邦政府が誇るハイウェイシステムであるアウトバーンを訪れる必要がある。 または、飛行場の滑走路を見つけるか、サーキットに行くかのいずれかであろう。しかし、この718ボクスターは、タイヤのゴムを削りとるハードなドライビングをするのではなく、街中での洗練された刺激的な走りを楽しんでもらいたいと思う。

ちなみに、718モデルには6速MTが標準装備されており、前述の7速PDKは、日本では48万円のオプションである。それは高価に感じられるが、911モデルシリーズで以前に導入された燃料節約のための「特別なギア」を備えている。したがって、ボクスターを十分に長く維持すれば、そのコストをいつか取り戻すことができるだろう。コンバーチブルは十分に倹約的で、それはコストに見合う価値がある。ガソリンエンジンのMT車が最高だと考える純粋主義者は、MTが唯一の方法だと言うだろう。だが、7速PDKの方が加速は俊敏だし、ロングドライブでもラクなのである。

魅力的なルックス


ボクスターは走りのポテンシャルが高いだけでなく、写真を見てもらえればルックスも魅力的だと分かる。際立つ彫刻的なフォルムや、フロントは誰が見てもポルシェと分かるキュートな顔立ちである。ノーズは、統合されたLEDデイタイムランニングライトを備えたバイキセノンヘッドライトによって完成される。これらのレーザーのようなライトがお気に召さない場合は、代わりに4点式のLEDデイタイム ランニング ライトを選択できる。また、ボディサイドの大きな冷却用エアダクトは、ミッドシップであることに加え、ターボチャージャーが鼓動していることも誇示している。

プロファイルでは、スポーツカーの特徴として、独立したスタイルのホイール アーチとサイドシルが挙げられる。2つのフィンを備えた大型のエア インテークパネルが、ボクスターのダイナミックな外観をさらに際立たせている。718ボクスターには18インチのアルミ ホイールが標準装備されているが、試乗車には19インチのボクスターSホイールが装着されている。上を望むならボクスターTが用意され、こちらは20インチのタイヤとアルミホイールを履いている。

718 ボクスターのリアはワイドな外観が特徴で、テールライトの間に組み込まれた「Porsche」のバッジが付いたアクセント ストリップが強調されている。これらのリアランプは、3次元LEDテクノロジーと4点式ブレーキランプによって際立っている。このポルシェのエクステリアが注目を集めることは間違いない。

時代を先取りしたインテリア


運転していなくても、キャビンに座っているだけで718 ボクスターらしい香りを感じ取ることができる。スポーツマインドあふれ、ラグジュアリーなデザインに加え、718 ボクスターの充実した装備が、このスポーツカーをさらに魅力的にしている。

時代を先取りしたポルシェのインテリア環境があなたを待っている。キャビンの中心的な機能は、オーディオ インターフェース、110ワットのオーディオ出力を備えたサウンド パッケージ プラスを備えたポルシェ コミュニケーション マネジメント(PCM)技術などである。 さらに、PCMシステムは、オプションのモジュールで拡張して、個人の要件に完全に適合させることができる。たとえば、音声制御を含むナビゲーションモジュールが利用可能で、運転目的地を簡単に入力できる。

コネクト プラス モジュールは、ナビゲーション ユニットの拡張として追加することもできる。オンライン ナビゲーション サービスと強化されたオンライン オーディオ機能を提供する。さらに、ポルシェビークルトラッキングシステムプラス(PVTS+)を標準装備することで、718ボクスターは最高クラスの車両セキュリティを提供する。

確かに、718 ボクスターは、購入またはリースできる最も強力なポルシェではなく、実用的でもない。だが、常に素晴らしいインテリアに多くのテクノロジーが詰め込まれている。運転しても、見ていても飽きることはない。スポーティな走りを好む人にとっては頼りになるパートナーになってくれるだろう。

DATA

ポルシェ 718 ボクスター
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:4.7秒
総合燃費WLTP=欧州複合モード 11.2km/l
エンジンレイアウト:ミッドシップ
総排気量:1988cc    
エンジン:水平対向4気筒DOHCターボ
最高出力:300ps(220kW)/6500rpm
最大トルク:380N・m(37.8kg-m)/2150〜4500rpm
CO2排出量:185g
日本仕様の販売価格:718 ボクスター 6速MT 807万円
718 ボクスターT 6速MT 921万円


監修:片岡英明(モーター・ジャーナリスト)

FQ JAPAN VOL.66(2023年春号)より転載

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